切ない話:交通事故で妻子を同時に失った男性 孤独と喪失の1カ月を語る

交通事故で妻子を同時に失った男性 孤独と喪失の1カ月を語る

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【北海道発】2024年5月、北海道内で発生した単独車両事故により、30代男性Aさん(仮名)は妻と娘を同時に亡くした。
取材に応じたAさんは「現実感がないまま日々が過ぎている」と心境を明かした。
家族を突然の事故で失った遺族の現実と、その後の生活を追った。

■妻子同時死亡 根室出張中に届いた訃報
5月初旬、北海道内の幹線道路で乗用車の単独事故が発生した。
警察の発表によると、運転していたAさんの妻と後部座席の娘は即死とみられ、車両は大破していた。
Aさんは事故当時、根室市に出張中だった。
「何とかして帰宅したが、どう帰ったのかよく覚えていない」と振り返る。

■遺体との対面と静かな葬儀
Aさんによれば、病院で対面した遺体は全身が包帯で覆われていたという。
損傷が激しかったため、葬儀前に火葬を実施。
葬儀は親族のみの密葬となったが、妻の勤務先上司や娘の幼稚園教諭が弔問に訪れ、骨壺の前で涙を流した。
「自分は涙も出なかった」とAさんは語る。

■「日常」の痕跡と孤独な生活
事故から帰宅したAさんの自宅には、干したままの洗濯物、作りかけの食事、点いたままのパソコンなど、家族の日常がそのまま残されていた。
「何も手が付けられず、ただ一人で夜と朝を迎えている」と話す。
整理を始めると、家族の姿や声がよみがえり、現実を突きつけられるという。
「三日ほど泣いて過ごした」と明かした。

■夢に現れる妻子 自殺も考えた日々
Aさんは「毎朝、妻と娘の夢を見る」と語る。
夢の中では、妻が「頑張ってね」と送り出し、娘にキスをして家を出る場面が繰り返されるという。
「もういないんだよ」と他人に告げられて目が覚めるたび、深い喪失感に襲われる。
自殺も考えたが、実行には至らなかったと述べる。

■残されたものと、時間の重み
家には娘の小さな布団や、妻のカーディガンがそのまま残る。
「時間が解決する」と周囲は励ますが、「自分には無理そうだ。
乗り越えた人は超人だと思う」と吐露した。
帰省のお土産や撮影した写真など、果たせなかった約束が心に残っているという。

■専門家「喪失体験の孤独、社会的サポートが不可欠」
グリーフケア(遺族支援)に詳しい北海道大・臨床心理士の佐藤明子氏は「突然の喪失は長期にわたり深刻な影響を及ぼす。
身近な人の支援や専門機関のサポートが不可欠」と指摘する。
Aさんのような遺族が孤立せず、社会と再びつながる仕組みづくりが求められている。

(編集部・特別取材班)
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