親への感謝を伝える卒業の日の温かな授業

私が考える教育の究極の目的は、「親に感謝し、大切にする」ことだと感じています。

高校生たちは、ときどき自分たちが自力でここまで進んできたと勘違いしてしまうものです。
しかし、実際には親の支えがどれほど大きかったか、彼ら自身はなかなか気づいていないことが多いようです。

この大切な教訓を伝えたくて、私は卒業式の日を選びました。

式が終わった後、三年生全員とその保護者の方々を視聴覚室にお招きし、最後の授業を行うことにしたのです。

私はまず、生徒たちを整列させ、保護者の皆さまには生徒の席に座っていただきました。
その後、生徒たちは保護者の隣に正座し、私はみんなに目を閉じるように伝えました。

―今までの人生で、お父さんやお母さんにたくさんの心配をかけてしまったことを思い出してください。

―交通事故や親子喧嘩、学校生活など…どれほど親に負担をかけてきたか、改めて振り返ってみてください。

こうして話を進めていくうちに、生徒たちの中には思わず涙を流す子も見られました。

―高校生活を送ることができたのは、親が一生懸命に働き、多くのお金や時間をかけてくれたからです。

―学校の先生への感謝ももちろん大切ですが、まずは親に感謝の気持ちを伝えることが一番大事なのです。

その後、私は生徒たちに向けて、次のように話しました。

―もし本当に心から親に感謝しているなら、今こそその気持ちを形にしましょう。

―隣にいるお父さんやお母さんの手を、どうか握ってみてください。

生徒たちは、次々と親の手をそっと握りました。
その手は、彼らを育てるためにたくさんの苦労を経てきた手でもあります。

私は少し強く、しかし温かく語りかけました。

―これらの手が、あなたたちを愛し、育て、守ってきた手なのです。

―そのことを、どうか忘れないでいてください。

―今、改めてその手を握りしめ、心からの感謝の気持ちを伝えてください。

その瞬間、部屋中には嗚咽と涙が広がりました。

私は静かに、生徒たちに目を開けるように伝えました。

―目を開けてください。

―この授業で私が伝えたかったのは、親への深い感謝と尊敬の心です。

―これで授業は終わります。

教室を後にするとき、親子が互いに抱き合い、共に涙を流している姿が見られました。

私のこの授業が、彼らにとってただの卒業式以上の、かけがえのない思い出となることを願っています。