「親への感謝」を学ぶ卒業式後の特別授業──教師が語る教育の究極的目的

■卒業式後に実施された「親への感謝」を伝える特別授業

3月○日、都内のある高等学校で、卒業式直後に行われた特別授業が話題を呼んでいる。
指導したのは、同校で長年教鞭を執る教諭・佐藤浩二氏（仮名）。
「教育の究極の目的は、親に感謝し大切にすること」と語る佐藤氏は、卒業を迎えた生徒とその保護者を対象に、これまでとは一線を画した“最後の授業”を行った。

■「自分だけの力ではない」　親の存在に気づくきっかけに

多くの高校生は「自分の力だけでここまでやってきた」と考えがちだが、佐藤氏によると「親の支えがどれほど大きかったか、多くは気づいていない」という。
そこで同氏は、卒業式当日を「親への感謝を伝える最良のタイミング」と捉え、視聴覚室に三年生とその保護者を招集。
生徒たちを整列させ、保護者をその席に着席させた。

「これまでの人生で、どれほど親を心配させたか思い出してほしい」。
佐藤氏は生徒に目を閉じさせ、交通事故や親子喧嘩、学校生活の中で親にかけた負担を静かに問いかけた。
話が進むにつれ、静かな室内にすすり泣く声が広がったという。

■「親の手を握る」行為で伝える感謝の気持ち

佐藤氏は続けて「高校生活を送れたのは、親が懸命に働き、多くの費用を投じてくれたから。
学校の先生への感謝も大切だが、まずは親に感謝しなければならない」と強調。
生徒に「隣にいるお父さん、お母さんの手を握ってください」と促した。

生徒たちは次々に親の手を握りしめた。
その手は、子どもを育てるために多くの苦労を重ねた証だ。
佐藤氏は「これらの手が、あなたたちを愛し、育て、守ってきた手だ。
このことを決して忘れてはいけない」と語りかけ、今一度、心からの感謝を伝えるよう促した。
その瞬間、会場中に嗚咽と涙が広がった。

■「親への感謝と尊敬」──教室を後にした親子の姿

最後に佐藤氏は「この授業で伝えたかったのは、親への深い感謝と尊敬です。
これで授業は終わりです」と締めくくった。
教室を後にする親子は、互いに抱き合い、涙を流していた光景が印象的だったと関係者は振り返る。

■専門家の見解と今後の展望

教育評論家の田中美和氏は「近年、自己肯定感や自立心を重視するあまり、親の存在や家庭の役割が見過ごされがちだ。
こうした授業は、家族の絆や感謝の気持ちを再認識させる有効な試みだ」と指摘する。

今後、同様の取り組みが他校にも広がる可能性は高い。
卒業式という節目を、家族への感謝を伝える機会と捉える動きが、教育現場で注目されている。