不思議な話:記憶の狭間で――失われた季節を探して

記憶の狭間で――失われた季節を探して

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○回想・小学校校庭(冬・夕方)

N:小学3年の冬。
あの日の記憶は、ここで途切れている。

SE:子どもたちの歓声、サッカーボールを蹴る音

少年・ユウタ(9歳・ややぼんやりした雰囲気)、友達とサッカーをしている。

ユウタ:(笑いながら)(ボールを追って走る)

SE:チャイムの音(遠くで)

(画面暗転)

○回想・学校廊下(春・夕方)

SE:静かな廊下の響き

N:次に気づいた時、僕は――

ユウタ、廊下の大きな鏡の前に立ち尽くしている。

ユウタ:(驚いた顔で自分を見つめる)

(カメラ、ゆっくりユウタの顔にズームイン)

SE:心臓の鼓動が高鳴る音

ユウタ:(息をのむ)(鏡に映る自分に手を伸ばす)

N:まるでテレビのチャンネルが急に切り替わったような感覚だった。

○同・廊下(続き)

ユウタ:(困惑して)(服を触る、周囲をきょろきょろ見回す)

ユウタ:(涙をこらえて)……なんで、ここに?

(名札に気付く)

ユウタ:(名札をつまんで)「4年1組」……?

(自分の顔や身体をそっと触る)

N:少し成長した自分の顔。
戸惑いと不安が胸を締めつける。

○同・廊下(続き)

SE:チャイムが鳴る

ユウタ:(はっとして)(教室へ小走りに向かう)

○回想・4年1組教室(夕方)

(教室に入るユウタ、クラスメイトたちのざわめき)

友人A(9歳):おーい、ユウタ、早くー!

ユウタ:(一瞬戸惑うが、無理に笑う)う、うん。

N:学年は2クラスだけ。
顔ぶれも、大きくは変わっていない。

(席に着くユウタ、机の中から教科書とノートを取り出す)

ユウタ:(ノートを開き、書かれた自分の字を見て)(眉をひそめる)

N:字は自分のもの。
でも、書いた記憶はどこにもない。

○同・教室(授業中)

先生(30代・落ち着いた雰囲気):じゃあ、この問題、ユウタ答えてみて。

ユウタ:(一瞬動揺しながらも、なんとか答える)

ユウタ:……えっと……3分の1、です。

先生:正解!

(クラスメイトの拍手と笑顔)

ユウタ:(ほっとした表情)(だがどこか浮かない)

N:内容はわかる。
でも、僕の季節だけがいない。

○回想・自宅・自分の部屋(夜)

(ユウタ、机に向かって日記帳を開くが、ペンが止まる)

N:思い出せない。
テレビで何を見た?誰と遊んだ?自分だけの記憶だけが、ぽっかり抜けている。

○回想・食卓(夜)

母(40代・優しい雰囲気):ユウタ、今日も学校楽しかった?

ユウタ:(苦笑しながら)うん、まあね。

父(40代・寡黙):忘れ物するなよ。

ユウタ:(曖昧に笑う)

N:家族にも、友達にも言えなかった。
ボーッとしていた僕は、「忘れちゃった」と笑いながら、ずっと不安の中にいた。

○回想・自分の部屋(深夜)

(ユウタ、布団の中で天井を見つめる)

ユウタ:(心の声)もしかして、この間、僕じゃない誰かがいたのかな……

N:大人になった今、もし2年、3年も同じことが起きたら――

(ユウタ、目を閉じる)(カメラ、ゆっくりフェードアウト)

N:想像するだけで、背筋が凍る。

(BGM:静かに、不安げな旋律)
読了
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