■突然失われた記憶――小学生の「空白の数カ月」を追う
「気づけば鏡の前にいた。
直前まで校庭でサッカーをしていたはずなのに」――。
A氏(仮名・30代男性)は小学3年の冬から4年5月までの間、およそ半年間にわたり自身の記憶が断絶していると語る。
取材班は、本人の証言と専門家の見解をもとに、不可解な「記憶の空白」の実態に迫った。
■校庭から突然廊下へ 記憶の断絶
A氏によると、最後の記憶は小学校の校庭でサッカーをしていた場面だという。
「次に気づいた時には、学校の廊下にある大きな鏡の前に立っていた」とA氏は当時を振り返る。
その間に起きた出来事や日常生活の記憶は、一切残されていなかったという。
鏡越しに映る自分の顔を見て、「少し成長したような感覚があった」とA氏。
名札には「4年1組」と記されており、自分が4年生になっていること、時期が5月であることなど、断片的な情報が徐々に浮かび上がってきたという。
「思い出した」というよりも、「情報が頭に流れ込んできた」ような感覚だったと明かす。
■「書いた記憶のないノート」 日常生活の違和感
A氏が教室に戻ると、周囲の顔ぶれに大きな変化はなかった。
授業が始まり、知らない教科書やノートを開いたが、内容は理解できたという。
ただし、「自分の字で書かれたノートなのに、書いた記憶が一切ない」と違和感を覚えたと語る。
この間、テレビで何を見たか、誰と遊んだかなど、友人や家族との個人的な思い出だけが抜け落ちていた。
A氏は「普段からぼんやりしている性格だったため、周囲からも不審に思われなかった」としつつも、本心では大きな不安を感じていたと明かす。
■「別の人格」の存在を疑う 当時の心境
記憶の空白期間について、A氏は「もしかしたら、その間に別の人格がいたのではないか」と考えるようになったという。
「記憶を共有できる部分と、秘密にしたい部分があったのでは」と自己分析する。
家族や友人に対しては、「忘れちゃった」と笑ってごまかしていたが、心の中では恐怖と不安が消えなかったと語る。
■専門家の見解 「解離性障害」の可能性も
本件について、精神科医の佐藤理恵氏は「成長期の子どもで、特定期間の記憶が抜け落ちる場合、ストレスやトラウマがきっかけとなる『解離性障害』の可能性がある」と指摘する。
また、日常生活に支障がなければ、周囲も異変に気付きにくいという。
「大人になってから同様のことが起きた場合は、早めの受診とカウンセリングが重要」と助言する。
■今後の展望と読者への問いかけ
A氏は「もし今、2~3年も記憶が飛ぶようなことがあったらと想像すると、ぞっとする」と語る。
記憶の空白がどのような要因で生じ、なぜ回復したのかは未だ謎のままだ。
近年、国内でも「記憶障害」や「解離性障害」に関心が高まっており、今後さらなる研究が期待される。
記憶の空白――。
あなたなら、もし突然自分の数カ月が「消えて」しまったとき、どう向き合うだろうか。
不思議な話:小学生時代に2度の記憶喪失 謎の空白期間を体験した男性が語る真実
小学生時代に2度の記憶喪失 謎の空白期間を体験した男性が語る真実
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