父から娘への贈り物――結婚式に紡がれた25年越しの愛

■【起】〜祝福に包まれた披露宴の静かな幕開け〜
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友人の結婚披露宴。
会場は幸せと祝福の空気に満ち、笑顔と拍手が響いていた。

披露宴も終盤に差し掛かり、静かに新婦の父親がマイクの前に立つ。
場内は自然と静まり返り、誰もがその言葉に耳を傾けはじめた。

■【承】〜父と娘、受け継がれた想い〜
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父親はゆっくりと語りだす。
「明子。
お前が生まれたとき、お母さんは病気で亡くなった」と。
母親の顔も声も知らずに育った娘。
それでも明るく成長し、家事もよく手伝ってくれたと、父は感謝の気持ちを伝える。

「今日、素敵な人と結婚するお前を見て、お母さんもきっと喜んでいるだろう。
私には、お前に渡したいものがある。
」父の言葉は優しく、しかしどこか決意を感じさせた。

■【転】〜25年越しの母の面影、涙のサプライズ〜
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父親は古びた箱からビデオテープを取り出す。
会場のプレーヤーで再生が始まると、画面には病院のベッドで新生児を抱く女性――25年前の新婦と、その母親の姿が映し出された。

幸せそうに赤ちゃんをあやす母親。
新婦は、初めて見る母の顔に涙をこらえきれない。
参列者たちも次第に目頭を押さえ、会場全体が感動に包まれる。

■【結】〜受け継がれる愛、父と娘の新たな絆〜
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涙を浮かべながらも、じっと母の姿を見つめ続ける新婦。
その隣で、父親は静かに佇んでいた。
淡々としたその姿が、また別の意味で涙を誘う。

母の愛情を秘めて守り続けてきた父の想い。
そのすべてがこの瞬間、新婦に伝わった。
会場を包む温かな余韻とともに、父と娘の絆は新たな一歩を踏み出したのだった。