数字を追い続けた俺、涙のサプライズ

入社以来、俺はひたすら数字を追ってきた。

必死に働く日々が7年経ち、会社は俺の業績を認め始めた。

昇格も重なり、部下も数人持つようになり、重要な仕事も任されるようになった。

仕事優先の生活で、嫁には寂しい思いをさせていた。

結婚5年目を迎え、お互いの誕生日には特別な食事をしようと約束していた。

感謝の気持ちを込めて、嫁が行きたがっていた高級レストランでの食事を計画した。

嫁が予約を取ってくれたのは、まさに奇跡だった。

会社にも事前に伝え、当日は朝から同僚や部下に早退することを告げていた。

しかし、夕方頃、外出中の部下から信じられない電話が入った。

取引先で許されないミスが発生し、普段温厚な取引先の部長が激怒。

その場を取り繕うため、工場に直接出向き、謝罪することになった。

その後、取引先の本社へと急いだ。

途中で嫁に事情を説明し、「大丈夫よ、私は理解してるから」と言われ、申し訳なさでいっぱいになった。

第一会議室へ案内され、ドアの前で深呼吸をした。

恐怖と緊張で心臓が高鳴る。

しかし、ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは想像と全く違う光景だった。

「パン！パン！パン！」

「課長、お誕生日おめでとうございます！」

部屋はクラッカーの音と共に、笑顔の部下たちで溢れていた。

取引先の部長も含め、皆が祝福の言葉を投げかけてきた。

全てが計画されたサプライズパーティだったのだ。

部下が提案し、取引先の部長と協力してくれていた。

「あなた、お誕生日おめでとう」と、嫁がそっと手を握りながら言った。

会議室は、一夜限りのパーティ会場に変わっていた。

これほどのサプライズを受け、嬉しさのあまり涙が止まらなかった。

部下たちの顔を一人ずつ見回し、こんなに素晴らしいチームを持てたことに、心から感謝した。

この日の記憶は、俺の一生の宝物となった。