■【起】〜数字に追われた7年と、すれ違う日常〜
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入社してからの毎日は、とにかく数字を追い続ける日々だった。
がむしゃらに働き、気がつけば7年。
会社もようやく自分の成果を認め始め、昇格も重なり、部下を抱える身となった。
重要な仕事を任されることも増え、責任とやりがいは日々膨らむ一方で、家庭とのバランスは難しくなった。
仕事優先の生活が続き、結婚5年目を迎えた妻には、寂しい思いをさせてしまっていた。
それでも、せめてお互いの誕生日だけは特別にしようと約束した。
感謝の気持ちを込めて、妻がずっと憧れていた高級レストランでの食事を計画することにした。
奇跡的に予約が取れ、会社にも事前に早退を伝え、当日は万全の準備で臨むつもりだった。
■【承】〜積み上げてきた信頼と、訪れる予期せぬ試練〜
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当日、僕は朝からそわそわと落ち着かなかった。
早退の予定を同僚や部下に伝え、念願のディナーへ気持ちを高めていた。
しかし、夕方になって事態が一変する。
外出中の部下から信じられない報告が入った。
取引先で重大なミスが発生し、温厚なはずの取引先の部長までもが激怒しているという。
緊急対応のため、現場へ急行し、その足で取引先の本社へ直接謝罪へ向かうことになった。
道中、妻に事情を説明すると、「大丈夫よ、私は理解してるから」と優しく言ってくれた。
だが、せっかくの約束が果たせなくなったことに、胸が締め付けられる思いだった。
■【転】〜扉の向こうに隠された真実〜
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取引先の本社に到着し、第一会議室の前に立つ。
深呼吸をして、緊張と恐怖で心臓が高鳴る。
自分の責任の重さに押しつぶされそうになりながら、意を決してドアを開けた。
その瞬間、目に飛び込んできたのは想像とは全く違う光景だった。
「パン!パン!パン!」
クラッカーの音と共に、会議室中が笑顔に包まれていた。
部下たちが、取引先の部長までが、「課長、お誕生日おめでとうございます!」と祝福の言葉を投げかけてくれる。
すべては部下たちの提案、取引先の協力、そして妻も巻き込んだサプライズパーティだったのだ。
■【結】〜感謝と涙、一生の宝物となった記憶〜
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「あなた、お誕生日おめでとう」と、そっと手を握る妻のぬくもり。
一夜限りの会議室は、最高のパーティ会場に変わっていた。
これほどのサプライズを受けたのは初めてで、嬉しさと感謝で涙が止まらなかった。
一人一人の顔を見回しながら、こんなにも素晴らしいチームと家族を持てた自分は本当に幸せ者だと、心の底から思った。
この日の出来事は、きっと一生の宝物になる――そう確信できる夜だった。
感動する話:涙が止まらなかった一夜――仕事人間が受け取った最高の贈り物
涙が止まらなかった一夜――仕事人間が受け取った最高の贈り物
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