いつも待たせてしまっている彼女に申し訳なくて、今日は少しでも早く着こうと、約束の時間より10分も早く待ち合わせ場所に到着したのです。
ところが、待ち合わせ時間になっても彼女の姿は見えません。
さらに10分が経過しても、やはり彼女は現れませんでした。
私はだんだんと不安になり、そろそろ連絡を入れようかと思ったその瞬間、彼女からメッセージが届きました。
「今、どこにいるの?」という、少し苛立った声が感じられる内容でした。
私は「○○のベンチにいるよ」と答えました。
すると彼女は、「何を言ってるの?私もそこにいるのに」と返してきたのです。
待ち合わせ場所は広くなく、ベンチもひとつしかありません。
いつもの場所なので、間違えるはずがありません。
私も確かにそこで待っていたと伝えましたが、彼女はなかなか納得してくれませんでした。
しばらく沈黙が続いた後、彼女が「今、自転車に乗った人が通ったけど、服装や性別わかる?」と尋ねてきました。
ちょうど私もその人を見かけていたので、そのまま見た通りに答えました。
しかし、それでもお互いに状況が分からないまま、ますます混乱してしまいました。
そこで、互いの現在地を写真で送り合うことにしたのです。
互いの写真を見て、私は思わず息を呑みました。
空や雲、時計の写真が、ほとんど同じアングルで撮影されていたのです。
その後、他の場所に移動してみても、結局彼女と会うことはできませんでした。
状況がどうしても理解できず、少し気味が悪くなった私は、そのまま家に帰ることにしました。
その夜、彼女から電話があり、私たちは朝までたくさん話しました。
そして、「もう一度あの場所に行ってみよう」と、再び待ち合わせ場所に向かうことにしたのです。
互いの姿が見えたとき、自然と涙が溢れて止まりませんでした。
いったい、異世界に迷い込んでいたのは、どちらだったのでしょうか――。
不思議な話:すれ違うふたりと不思議な待ち合わせの出来事
すれ違うふたりと不思議な待ち合わせの出来事
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