不思議な話:「同じ場所、すれ違う世界――重なる空の下で起きた不可思議な出来事」

「同じ場所、すれ違う世界――重なる空の下で起きた不可思議な出来事」

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■【起】〜すれ違いから始まる静かな午後〜
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いつも待たせてばかりの彼女に、今日は少しでも早く会いたくて、約束の10分前に待ち合わせ場所へ向かった。
駅前のベンチは、ふたりの定番スポット。
今日は自分が先に着いたことで、彼女もきっと喜ぶだろう。
そんな小さな期待を胸に、彼女の到着を待っていた。

だが、待ち合わせの時間になっても彼女は現れない。
いつもなら時間ぴったりか、それより少し早く来るはずなのに、今日はなぜか姿が見えなかった。

■【承】〜見えない相手、深まる謎〜
───────

そのまま10分が過ぎても、彼女の姿はどこにもない。
不安になり、スマホを手に連絡を取ろうとした瞬間、彼女からメッセージが届いた。

「今、どこにいるの?」という少し苛立った声。

「○○のベンチにいるよ」と返すと、「何を言ってるの?私もそこにいるのに」と返事がくる。
待ち合わせ場所は広くないし、ベンチも一つだけ。
お互い、間違いようがない場所のはずだった。

「私も待っていた」と伝えても、彼女は納得しない。
沈黙が流れる中、彼女が「今、自転車に乗った人が通ったけど、服装や性別わかる?」と尋ねてきた。
不思議に思いながらも、自分も同じ人物を見たので、そのまま答える。

しかし、話せば話すほど、状況はますます分からなくなっていく。

■【転】〜重なる景色、交わらない世界〜
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ついに、互いの現在地を写メールで送り合うことにした。
送られてきた写真は、空や雲、公園の時計――どれも自分が見ている景色とほぼ同じアングルで撮影されていた。

だが、いくら周囲を見回しても、彼女の姿は見えない。
彼女も私を見つけられないという。

その後、場所を移動しても、ふたりが出会うことはついになかった。
不安と戸惑いだけが募り、何が起きているのか分からないまま、私は家へと帰った。

■【結】〜再会の涙、残る不可解な余韻〜
───────

その夜、彼女から電話がかかってきた。
ふたりで朝まで語り合い、もう一度あの場所に行こうと約束した。

翌日、再び待ち合わせ場所に向かうと、今度は互いの姿がはっきりと見えた。
安心と感動が入り混じり、涙が止まらなかった。

あの日、異世界に迷い込んだのはどちらだったのか――今もその答えは分からない。
ただ、重なる空の下で、ふたりの世界が再び交わったことだけは確かだった。
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