■母親の入院で始まった“家族の試練”
2024年春、関東地方のAさん(仮名・30代女性)一家に、突如として試練が訪れた。
Aさんの妹が病気のため入院し、その幼い息子(4歳)は、約1カ月にわたりAさんの実家で過ごすことになった。
家族によると、この間、甥は普段通り明るく振る舞いながらも、ときおり母親を思い出し、胸の内に寂しさを抱えていたという。
■普段と変わらぬ笑顔の裏で
Aさんの実家は、甥にとっても馴染み深い場所だった。
日中は祖父母やAさんと遊び、外食にも出かけるなど、日常生活を変えることなく過ごしていた。
「夜になると、誰と寝るかを自分で選ぶのが楽しみだったようです」とAさんは振り返る。
甥は「今日はじいじと寝る」「今日はばあばと寝る」と嬉しそうに布団へ入っていたという。
■“気丈な態度”と小さな本音
しかし、ある日甥は「ままは、びょうき なおったかなぁ〜」と漏らした。
Aさんが「寂しい?」と尋ねると、「ううん、だいじょうぶ!」と元気に答えた。
Aさんは「子どもなりに気をつかっているのだろう。
寂しさを見せない姿に胸が痛んだ」と当時の心境を語る。
■「明日、おうちに帰る」――本音があふれた夜
妹の入院から10日ほどが経過したある夜、甥はAさんの布団に入り「おねえちゃん、ぼく、あした おうちに かえるね」と話した。
しかし、妹の退院はまだ見通せない状況だった。
Aさんは「そのうちおうちに帰ろうね」と優しく返したが、翌晩も甥は同じ言葉を繰り返したという。
Aさんは「本当はずっと我慢していたのだと気づかされた」と語る。
甥は「おねえちゃん……あしたは、なかなか こないねえ」とつぶやき、Aさんと祖母は思わず涙したという。
■母との再会、溢れた笑顔
こうした日々が続き、約1カ月後、ついに妹の退院が実現。
家族が迎えに来ると、甥は「まま!」と何度も叫びながら駆け寄っていった。
Aさんは「小さな体に大きな気持ちを詰め込んでいたあの日々。
甥の笑顔は今も胸に残っている」と当時を振り返る。
■専門家「子どもの気持ち、丁寧に受け止めて」
子どもの心理に詳しい臨床心理士・鈴木理恵氏は「幼い子どもは、環境が大きく変わっても表面的には明るく振る舞うことが多い。
大人が寄り添い、気持ちを丁寧に聞き取ることが大切だ」と指摘する。
今後も、家族が一丸となって子どもをサポートできる体制づくりが求められている。
読者の皆さんも、“子どもの気持ち”に耳を傾けてみてはいかがだろうか。
感動する話:「ママに会いたい」――1カ月に及んだ幼児の“がまん”と家族の支え
「ママに会いたい」――1カ月に及んだ幼児の“がまん”と家族の支え
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