「○家はあなたが最後なんですよ。
」
その手紙を読んだ瞬間、トメ(義母)はきっと何もかもが終わったことを悟っただろう。
実子にも、孫にも、もう二度と会えない。
自分だけが取り残されて老人ホームで生きる、「呪い」と呼んだものが、本当に自分自身に返ってきていることに気付いたはずだ。
なぜなら、私も義姉たちも、あなたを老人ホームに入れてから皆で再婚し、同じ姓に変えてしまったから。
婿養子だったウトも元の姓に戻り、孫たちの良い祖父になっている。
あなたが守ろうとした家の名前も、血筋も、全てここで途絶えた。
その数日前、叔母の家にトメから「命に関わる病気になった」「嫁子母の呪いじゃないか」と弱々しい手紙が届いた。
自分の罪が軽くなるよう頼んでくるが、実子二人も元夫(ウト)も、もうあなたを助ける気はなかった。
なぜなら、あなたは最後まで自分の非を認めようとせず、全てを他人のせいにしてきたからだ。
「もし“呪い”なんて言葉がなければ、元夫も実子も一度くらいは会わせてやろうと思っていた」と後で聞いた。
しかしそれすらも、もう叶わない。
時計の針を少し戻そう。
あの日、母の葬儀。
親戚も少なく密葬の場だった。
そこに現れたトメは、悲しみに沈む場を壊すように暴言を吐き、夫と義姉夫に抑えられると、逆に義姉夫に頭突きをかまして大流血。
棺にしがみつく私、救急車を呼ぶ叔母、走り回る叔父、そして怒髪天のお坊様に説教されているトメ――。
修羅場そのものだった。
その後、義姉夫は鼻を骨折。
家族は完全に崩壊し、全員が離婚という決断を下した。
義母も家族から疎遠にされ、結局老人ホームに入れられ、数年後には脳梗塞で半身麻痺。
自分よりも嫌っていた“嫁子”の母の呪いではないかと怯えながら、誰にも会えない日々を送っている。
思い返せば、全ての始まりは私の両親の死。
そして、その悲しみに浸る暇もなくトメの暴走が家族をバラバラにした。
トメの「本当は私が悪くない」という自己正当化が、子や孫との縁を徹底的に断ち切る結果になったのだ。
信じられないかもしれないが、私自身はもう何も感じていない。
手紙が来ても、会いたいとも思わない。
ただ、これが「呪い」ではなく、自分自身の選択の結果なのだと、あの人には気付いてほしかった。
すべては、あの葬儀の日から始まった。
けれど、終わりを選んだのは他でもない、あなた自身だったのだ。
修羅場な話:「呪い」の手紙が届いた日――全てが終わった家族の逆転劇
「呪い」の手紙が届いた日――全てが終わった家族の逆転劇
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