怖い話:赤いマニキュアの爪が招く夜──仙台安ホテルに残る恐怖の余韻

赤いマニキュアの爪が招く夜──仙台安ホテルに残る恐怖の余韻

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■【起】〜静かな夜に忍び寄る違和感〜
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仕事で仙台に来た夜、同僚たちと安ホテルの一室で賑やかに飲んでいた。
知らない土地、気の置けない仲間たち、どこか非日常の空気が漂っていた。

その最中、部屋の電話が突然鳴る。
フロントから「神藤」という見覚えのない女性から電話だと告げられ、戸惑いながらエレベーターへと向かった。

一人きりのエレベーター。
背後に誰かの気配を感じるが、振り返る勇気も持てず、ただ目的階へと降りていく。

■【承】〜赤い爪と記憶の曖昧さ〜
───────

エレベーターを降り、恐る恐る振り返ると、ドアの隙間から白い腕が、赤いマニキュアの爪を残して吸い込まれていくのが見えた。
あれは人の手ではない。
全身に嫌な汗がにじむ。

フロントへ向かうと、係員もどこか困惑した様子だった。
確かに電話は受けたが、内容がどうにも思い出せないと言う。
謝るフロント係をなだめ、重い気持ちで部屋へ戻る。

部屋ではすでに皆が眠っており、眠れない自分は冷蔵庫からビールを取り出す。
そんなとき、ドアをノックする音が響いた。

■【転】〜赤い指がもたらす恐怖の絶頂〜
───────

チェーンロックをかけたままドアを開くが、廊下には誰もいない。
酔いのせいかと椅子に腰を戻すと、窓の外に何か大きなものが落ちていく気配を感じる。
恐る恐る窓を開けて下を見るが、何も見当たらない。

再びドアがノックされる。
今度は開けず、のぞき窓から確認するが、やはり誰もいない。
ふと足元に視線を落とすと、ドアと床の隙間から、赤いマニキュアの指が床をガリガリと引っかいている。

その音と光景に後ずさり、バランスを崩して転倒し、そのまま意識を失ってしまった。

■【結】〜朝に残された赤い余韻〜
───────

翌朝、ホテルは飛び降り自殺の噂で騒然としていた。
まだ警察も来ていない現場には人だかりができ、悲鳴や嗚咽が響いている。

遠くからそっと現場を覗き見ると、地面には見るに耐えない女性の姿が横たわっていた。
無意識に彼女の指へと視線が吸い寄せられる。
赤いマニキュア──偶然ではなかった。

後に聞いた話では、彼女の右手だけが現場でどうしても見つからなかったという。
あの夜の恐怖と赤い爪の感触は、今も消えずに残り続けている。
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