感動する話:涙が止まらなかった、あの日のおにぎりの味から――家族の再生を遡る物語

涙が止まらなかった、あの日のおにぎりの味から――家族の再生を遡る物語

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涙が止まらなかった、あの瞬間。
お母さんが作ってくれたおにぎりを食べた途端、幼い頃の記憶と一緒に、胸の奥が熱くなった。
二人きりの動物園で、僕は初めて「この人が母親なんだ」と思えた。
そして、その母も今年の2月、病気でこの世を去った。

あの日から22年――。
僕は今でも、あのおにぎりの味をはっきり覚えている。
だけど、その味が僕の心に刻まれるまでには、長い時間と、たくさんの気持ちの変化があった。

なぜ、涙が溢れるほどのおにぎりだったのか。
話は僕が小学生に遡る。
母を5歳で亡くして以来、父と姉と3人きりの生活が続いていた。
そんなある日曜日、父が僕と姉に「会ってほしい人がいる」と言った。

連れてきた女性は、父より少し若く、優しそうな人だった。
姉はすぐに打ち解けたが、僕は人見知りで上手く話すことができなかった。
けれど、その女性と父が再婚することは、なんとなく分かっていた。
姉が喜んでいるのを見て、僕も無理に笑ってみせた。

それから家族は4人になった――いや、「4人に戻った」と言うべきか。
だけど僕は、新しいお母さんにどうしても懐けなかった。

そんなある休日の前夜、父が「明日はみんなで動物園に行こう」と言い出した。
僕は嬉しくて、翌朝は早く起きてしまった。
ところが、姉が熱を出してしまい、父が看病することになった。
仕方なく、僕とお母さんの二人きりで動物園に行くことになった。

最初はぎこちなくて、ほとんど会話もなかった。
昼になってベンチでお弁当を広げた時、僕はおにぎりを一口。
そこで、元気だった頃の母が作ったおにぎりの味を思い出し、涙が止まらなくなった。
戸惑うお母さんの前で、僕は泣き続けた。
でも、その瞬間、初めて「この人が母親なんだ」と思えた。

それから僕は、お母さんと動物園を回りながら、今まで話せなかったことをたくさん話した。
本当に楽しくて、嬉しかった。

思えば、僕を支えてくれたのは二人の母の存在だった。
今でも、あの日のおにぎりの味は、僕の心に生き続けている。
そして、二人の母のおかげで、今日も僕は元気に生きているのだ。
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