「そのおじいさんが、まさか本社の社長だったなんて。
」
後で知ったその事実に、私はただただ驚きました。
入れ歯をフガフガ言わせながら、アルバイトの女の子に「お茶!」とだけ要求したそのご老人。
しかも、社員たちは誰も特別扱いせず、ほとんど無視していたのです。
どうしてそんなことになったのか、不思議でなりませんでした。
私自身、その日が社長と初対面。
支店採用の私は社長の顔すら知らず、見知らぬおじいさんがふらりと事務所に入ってきた時も、最初はただ「誰?」としか思いませんでした。
振り返れば、あの日、事務所に現れたそのご老人は、当たり前のように社員の机の隣に腰かけ、年配社員と談笑し始めました。
周囲の社員たちは誰も驚かず、むしろ仕事に集中している様子。
私も「会社のOBなのかな」と思い、気にせず仕事に戻ってしまったほどです。
すべての始まりは、その見知らぬおじいさんの突然の来訪でした。
誰もが自然に受け入れていた光景。
しかし、あの時すでに、社長がどれだけ“特別扱い”されていない職場だったのか、その空気こそが異様だったのです。
今思えば、社員たちの社長への無関心ぶりも、そして私が社長を見抜けなかったことも、会社の風土をよく表していたのかもしれません。
社長=偉い人、という先入観が覆された、忘れられない一日でした。
仕事・学校の話:「本社の社長は、誰も気にしないおじいさんだった日」
「本社の社長は、誰も気にしないおじいさんだった日」
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