■突然の“知られざる社長”来訪、その時オフィスは——
「こんにちは」。
ある日、地方支店の事務所に、見慣れぬ高齢男性が静かに現れた。
2024年春、都内の中堅企業・S社(仮名)の地方支店での出来事だ。
入れ歯を気にする様子で挨拶した男性は、社員の机の隣にごく自然に腰掛け、年配社員と談笑し始めた。
■社員たちの反応は——「当たり前」の空気
現場にいた複数の社員はこの高齢男性の存在に気づいていたが、おおむね業務に集中し続け、「会社のOB(退職者)だろう」と受け流した。
取材に応じた社員A氏(仮名)は、「誰なのか気になったが、現場では珍しくない雰囲気だった」と証言する。
■アルバイト女性への“お茶”の指示 その正体は
やがて、この男性は隣にいたアルバイト女性の肩を軽く叩き「お茶!」と一言。
無遠慮とも取れるこの行動にも、周囲は驚いた様子を見せなかった。
しかし業務終了後、社員A氏は驚きの事実を知る。
「あの方が本社の社長だと聞かされ、信じられなかった。
ずいぶん高齢で、体調もよくなさそうだったので」と振り返る。
■「カリスマ不在」時代の企業現場 専門家の見解
S社広報によると、同社では「社長が現場視察を行う際、あえて肩書きを明かさない場合がある」という。
こうした風土について、組織論に詳しい経営学者の佐藤大介氏は「現場主義やフラットなコミュニケーションを重視する企業文化の一端とみられる」と分析する。
一方で、社員たちの社長への“無関心”が組織の一体感や危機感の希薄さにつながるリスクも指摘されている。
■今後の展望——「組織の透明性」問われる時代へ
今回の一件は、現場と経営層の距離感や企業文化のあり方について改めて問うものとなった。
今後、S社が「誰もが自由に発言しやすい職場づくり」と「経営トップの存在感」の両立をいかに実現するかが注目される。
読者の皆さんは、自社の“トップ”をどれだけ身近に感じているだろうか。
仕事・学校の話:「本社社長、まさかの“普通のおじいさん”風来訪 社員は無関心」企業文化の実態に迫る
「本社社長、まさかの“普通のおじいさん”風来訪 社員は無関心」企業文化の実態に迫る
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