不思議な話:「消えたドライブインと失踪者―逆転怪異体験記」

「消えたドライブインと失踪者―逆転怪異体験記」

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後日、警察から知らされた。
「君たちが保護したという女の子たちのバッグは、10年以上前に失踪届が出ていた短大生のものだった」と。
そして、俺たちが道中で寄ったというドライブインは、地元警察の調査でも一切存在しなかった。
さらに、失踪者の写真を見せられると、間違いなく俺たちが助けた3人組のうちの1人だった。

――なぜ、10年前に消えた女の子たちが、あの夜、俺たちの目の前に現れたのか?あの異様なドライブインで、俺たちは一体何を体験したのか。

その答えを探るには、あの恐怖の夜、女の子たちが突然消えたあの瞬間まで話を巻き戻さなければならない。

すべては、山道を抜けて市街地の明かりが見えたころだった。
女の子たちが「トイレに行きたい」と言い、俺たちは車を停めて彼女たちを待った。
しかし、彼女たちはトイレから戻ってこなかった。
車の中にはバッグが落ちており、中身がぶちまけられていた。
それを片付けようとした瞬間、Aたちが「トイレに誰もいなかった」と戻ってきた。
混乱した俺たちは110番通報するも、警官に「その女の子たちの車ってどれ?」と尋ねられ、振り向くとそこにもう車はなかった。
残されていたのは、彼女たちのバッグだけ。
警官たちは半信半疑で事情を聴取した。

だが、その少し前――俺たちは確かに、彼女たちとともに恐怖のドライブインから逃げ出していたのだ。

あのドライブインで、俺たちは異様な体験をした。
巨大な蛆がトラックに衝突し、人影の集団が林から現れ、上半身がなく紐のようなものが伸びる女の人型の何かがこちらに向かってくる…。
混乱の中、俺たちは女の子たちを車に乗せて、カーナビに従い全速力で逃げ出した。
走り去る車の窓から、蛆が女の子たちの車を追いかけるのが見えたが、いつの間にかその姿も消えていた。

ドライブインでの出来事はさらに不可解だった。
中に入ると、人の顔に見える巨大な蛾、異様に大きな男、プリクラのカーテンの下から見える動かない女の脚…。
自販機の液晶には「生身の口」が現れ、喋っていた。
女の子たちは「このドライブイン、変じゃないですか?」と訴え、俺たちは不安と違和感のまま、出口の見えない空間でお互いの体験を語り合った。

なぜ俺たちは、こんな場所に迷い込んだのか。
その始まりは、去年の夏、長野にドライブに出かけたことだった。
男4人、暇つぶしのつもりで車を走らせ、カーナビに導かれるままに群馬との県境を進んだ。
だが、道は次第に荒れ果て、すれ違う車もなく、不安が募っていった。
そんな中、偶然現れたのが例のドライブインだった。

今思えば、おかしな点は多かった。
女の子たちは、俺たちと同じルートで到着したはずなのに、途中で彼女たちの車を見かけていない。
あの異様な状況で、初対面の男たちに警戒もせずに話しかけてきたのも不自然だ。
プレハブ小屋に逃げ込もうとしたのは、本当にパニックによるものだったのか?もしあの時、彼女たちの言う通り小屋に立て籠もっていたら、俺たちは今ここにいなかったかもしれない。

あれは一体何だったのか。
女の子たちは本当に存在したのか。
それとも、俺たちが「異界」としか言いようのない場所に迷い込み、かつて消えた者たちと出会っただけなのか。
今となっては、確かめる術はない。
ただ、あの夜の恐怖と違和感だけが、今も鮮明に心に残っている。
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