■【起】〜気まぐれな夏のドライブと不穏な違和感〜
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去年の夏、友人たち4人(俺、A、B、C)は、暇つぶしに長野まで無計画なドライブへ出かけた。
男だけの気楽な旅で、ただ観光地で飯を食い、日が暮れてから帰るつもりだった。
帰路、長野と群馬の県境をカーナビ頼りで走っているうち、Aが「道が変じゃないか?」と指摘。
よく見ると、道幅は狭く、ガードレールは錆び、道路には雑草が生い茂っていた。
一本道の表示を信じて進むが、30分経っても状況は変わらず、車ともすれ違わない。
不安が車内を覆い始める。
やがて、Cが「ルートを確認しよう」と提案した矢先、遠くに明かりが見えた。
無人のドライブインで数台の車が停まっている。
ホッとした俺たちはトイレや自販機でひと息つくことにした。
■【承】〜異様な休憩所と現れる謎の少女たち〜
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AとCがトイレへ、俺とBは自販機隣の薄暗い休憩所へ入った。
入り口には掌より大きい蛾――しかも羽には人の顔のような模様。
不安を抱えながら中に入ると、古びたテーブルやゲーム機、そして50代ほどの男がテレビを見ていた。
薄汚れた空間に得体の知れない違和感が漂う。
その時、Bが「女の子3人組がいる!」と興奮気味に声を上げた。
しかし、彼女たちの表情はひどく不安そうで、何やら話し合っている気配。
やがて1人がこちらに近づき、「ここって関東方面に抜ける道で合っていますか?それにこのドライブイン、変じゃないですか?」と尋ねてきた。
俺も違和感を共有し、同じ席で事情を語り合うことに。
話が進む中、彼女たちが「テレビの前の男、サイズおかしくない?」と指摘。
よく見ると人間離れした巨体――立てば3〜4mはあろうかという異常さ。
さらに奥のプリクラには、ずっと動かないロングスカートの女の人の脚が見える。
耳を澄ませば、どこからともなく大勢の人が話しているような不気味な声まで。
■【転】〜不可解な怪異の連鎖と逃走劇〜
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トイレから戻ったAとCも真剣な面持ち。
「自販機が変だ」と言うので見に行くと、コーヒー自販機の液晶部分に生身の口があり、「いらっしゃいませ」と喋っている。
AとCも、「人が中にいるのか」と叩いたが反応はないという。
異常すぎる状況に、女の子たちも交えて「とりあえず外へ出よう」と話し合っていると、プリクラの女が歩いてきた。
その姿は――上半身がなく、下半身からは逆さ漏斗のような形で紐状のものが上に伸びて揺れている。
もはや人間ではない。
全員思考が停止し、外へ一目散に逃げ出した。
振り返ると、その物体はトイレの方へ消えていった。
安堵も束の間、駐車場奥の林から多数の人影が現れ、さらに林から巨大な蛆がジャンプしてトラックに激突。
ガラスが割れ、黄色い体液が飛び散る。
蛆は1匹だけではなく、7〜8匹が跳ね回る。
身の危険を感じた俺たちは女の子たちを車に乗せようとしたが、彼女たちはパニックになりプレハブ小屋に隠れようとする。
必死で説得し、無理やり車に乗せて、その場を脱出した。
■【結】〜消えた少女たちと拭えぬ疑念〜
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1時間ほど走って街の灯りが見えた。
後続の車に乗る女の子たちがトイレに行きたいと言うので、公園の駐車場で停車。
彼女たちは3人だけで行ったきり戻らず、彼女たちの車内のバッグがぶちまけられているのを発見。
Aたちがトイレを探したが、誰もいなかった。
警察を呼び事情を説明するも、肝心の彼女たちの車は忽然と消えていた。
残されたバッグを調べた結果、それは10年以上前に失踪届が出ていた短大生のものと判明。
警察の現場検証では、俺たちが通ったはずの山道にもドライブインにも痕跡はなかった。
後日、警官に写真を見せられ、あの夜の少女が失踪者本人だと気づく。
彼女たちの見た目は失踪当時そのままで、なぜ俺たちと同じルートで現れたのかも謎のままだった。
もし彼女たちの提案通りプレハブに隠れていたら、俺たちはどうなっていたのか。
未だに彼女たちの行動の真意は分からず、あの夜の出来事は、不気味な余韻を残したままである。
不思議な話:消失したドライブインと謎の少女たち――山道に潜む異界の恐怖
消失したドライブインと謎の少女たち――山道に潜む異界の恐怖
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