決意の果実――少年の瞳に映る夜

○自宅・ダイニング（夜）

登場人物：
タカシ（12歳・大人びた表情、落ち着いた声）
母（40代・優しく見守る）

（テーブルの上に、りんごとみかんが並んでいる。
薄暗い照明。
タカシ、無言で果物を手に取る）

SE：時計の秒針の音、静かに響く

母：（優しく）
「タカシ、ご飯の前にその果物食べるの？」

タカシ：（視線を落とし、ゆっくりとりんごを握る）
「…うん。
でも、今日はちょっと違うんだ。
」

（タカシ、りんごを力強く握りしめる。
果実が潰れる音）

SE：グシャッ

母：（驚いて）
「タカシ…？」

（タカシ、今度はみかんに手を伸ばす。
瞳に決意の光が宿る）

タカシ：（低く静かに、決意を込めて）
「―次はお前がこうなる番だ。
」

（果物をじっと見つめるタカシ。
母、声を失い見つめる）

（間）

N：彼の小さな手に込められた力。
その行動と言葉には、誰にも計り知れない意図があった。

（カメラ、ゆっくりタカシの瞳にズームイン）

N：その夜、タカシの目に宿る光を、誰もが息をのんで見つめていた。

（BGM：緊張感のある弦楽器が静かに流れ始める）

（画面暗転）