新人営業マン、恋と失態の午後 ～領収書に秘めた想い～

○不動産会社・応接スペース（午後）

（明るい光が差し込む店内。
カウンター横のテーブルには新人営業マンの佐藤悠斗（23・初々しい）、その隣には頼りがいのある上司・田村誠（45・貫禄あり）。
向かい側には婚約中のカップル、山本健吾（28・柔和な雰囲気）と佐々木美咲（27・上品で明るい）が座っている。
後方のデスクで事務作業をしているのは先輩社員・石田沙織（30・冷静な観察者）。
）

N：春の午後。
新人営業マンの佐藤にとっては、人生初の大きな商談だった――。

佐藤：（緊張の面持ちで）（書類を手渡しながら）
「本日はご来店いただき、ありがとうございます。
こちら、ご契約内容の確認になります。
」

山本：
「はい、大丈夫です。
よろしくお願いします。
」

美咲：
「新居、すごく楽しみです。
」

佐藤：（顔を赤らめて）（書類を確認しながら）
「…ありがとうございます！　僕も一生懸命頑張りますので！」

（BGM：ほのぼのとしたピアノ曲）

（契約が無事にまとまり、佐藤が小さくガッツポーズ）

田村：（微笑んで）
「おめでとう、佐藤。
やったな。
」

SE：控えめな拍手

佐藤：（はにかんで）
「ありがとうございます！あの…それでは申込金を…」

（山本が封筒を差し出し、美咲も微笑む）

佐藤：（丁寧に受け取り、領収書を書き始める。
手元で印紙に気づき、ふと顔を上げる）

（間）

佐藤：（印紙を取り、美咲に差し出しながら・やや緊張気味に）
「す、すみませんが…これ、舐めてもらえませんか？」

（全員、一瞬固まる）

SE：時が止まったような静寂

美咲：（目を丸くして）（思わず山本を見る）

山本：（困惑気味に）
「え…？」

（田村が素早く佐藤の腕を軽く叩く）

SE：パシッ！

田村：（小声で）（怒りを抑えて）
「お前、何言ってんだ！」

佐藤：（顔を真っ赤にして）（慌てて）
「あ、いや、違うんです！僕が舐めたら感じ悪いかと思って、せめて女性の方が…その…えっと…」

（美咲、呆れと苦笑いが入り混じった表情で山本と顔を見合わせる）

（後方で、石田が肩を震わせながら必死に笑いをこらえている）

SE：ぷるぷるという微かな笑い声

N：その瞬間、店内には決して消えない“新人伝説”が刻まれた――。

（カメラ、佐藤の困惑した表情にゆっくりズームイン）

（BGM：コメディ調に転調）

（画面暗転）