○自宅・寝室(深夜)
SE:時計の秒針の音、静かに響く
(妻・サエコ(38・落ち着いた雰囲気)、寝返りを打つ。
隣を見るが、夫の姿はない)
(サエコ、眉をひそめる。
ため息をつき、羽織を手に取る)
○自宅・階段〜キッチン(深夜)
(サエコ、階段を静かに降りる。
キッチンの灯りがぼんやりと漏れる)
SE:コーヒーカップを置く音
(夫・マサト(39・優しげ、やや頼りなさも)、テーブルに座り、コーヒーを前に壁を見つめている。
目には涙)
(サエコ、戸口で立ち止まり、夫の背中を見つめる)
サエコ:(小さな声で、心配そうに)
「…どうしたの? こんな時間に」
(マサト、肩を震わせて、ゆっくりと振り返る)
マサト:(声を震わせて)
「サエコ、…二十年前の初デート、覚えてる?」
(サエコ、驚きつつも微笑む)
サエコ:(優しく、懐かしむように)
「うん、もちろん。
私たち、まだ十六歳だったね」
(マサト、うつむき加減で苦笑する)
マサト:(涙をぬぐいながら、心の奥から絞り出すように)
「…あの時さ、君のお父さんが俺に銃を向けて言ったこと、覚えてる?」
(サエコ、思い出して小さくうなずく)
サエコ:
「『娘と結婚するか、それとも刑務所に二十年入るか、選べ』……でしょ?」
(長い沈黙)
(サエコ、そっと夫の隣に腰かける)
サエコ:(優しく、でも不安げに)
「覚えてるよ。
でも、どうして今それを?」
(マサト、コーヒーを見つめ、目を伏せて)
マサト:(涙をこらえて、苦笑しながら)
「もし、あの時…刑務所を選んでいたらさ……今日、出所の日だったんだよ」
(サエコ、一瞬きょとんとするが、すぐに吹き出しそうになり、目を丸くする)
(間)
(マサトとサエコ、しばし見つめ合う)
(サエコ、苦笑しながら夫の肩にそっと手を置く)
SE:二人の小さな笑い声
(BGM:静かに切ない曲が流れ始める)
(カメラ、ゆっくり二人の後ろ姿にズームイン)
N:
二十年の歳月。
それぞれの選択が、今の二人を作っていた――。
(フェードアウト)
恋愛の話:二十年目の真夜中、キッチンで流した涙
二十年目の真夜中、キッチンで流した涙
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