ごうちゃんとぼくの、でーじあたたかい沖縄家族物語さー

両親が離婚したのは、母が24歳、父が26歳、自分が6歳の時だったさー。
母は若くして妊娠して、ぼくが生まれた時、あんまり望まれてなかったみたいね。
父ちゃんも母ちゃんもそれぞれ新しいパートナー作って、親権を押し付け合ってたさー。
そんな時、母の弟、つまり伯父が声を上げたわけさー。


―「俺がこの子に愛を教えるさー。
お前ら最低だね。
どこへでも行ってしまえ、二度とこの子の前に現れるなよー」

こうして始まった、ごうちゃんとぼくとの新しい暮らしさー。
幼いぼくには大人の事情なんて全然分からんくて、突然いなくなった両親と、急に現れた大きなごうちゃんに、でーじ戸惑ったさー。
でもなんとなく、自分はいつか両親に捨てられるんだろうなって感じてたよー。


ごうちゃんは「俺のことはごうちゃんって呼べよー」って言ったさー。
多分、両親のいないぼくに「伯父さん」って呼ばせるのはきついと思ったんだはずね。
23歳の土木作業員だったごうちゃんと過ごす毎日、でーじ楽しかったさー。
毎日軽トラで幼稚園まで迎えにきて、そのまま一緒に夕飯の材料買いに行ったりしたさー。
料理はちょっと下手だったけど、「不味いねー」って笑いながら食べるのも、じょーとーな時間だったさー。


休みの日は朝から夕方まで、キャッチボールやサッカーを近所の子どもたちと一緒に遊んださー。
運動するごうちゃんは、大人げなく本気で、でーじ容赦なかったさー。
悪いことしたら殴られたけど、良いことしたらガシガシ頭撫でて褒めてくれたね。
ごうちゃんのおかげで、なんで自分がこんな環境にいるのか忘れるぐらい、でーじ楽しい毎日だったさー。


小学校の授業参観にも、ちょっと似合わないスーツで来てくれたさー。
遠足のお弁当も夜なべして作ってくれたさー。
高校で始めたラグビーの応援にも来てくれて、試合前にはマッサージまでしてくれたよー。
高校卒業した時は働こうと思ったけど、「やりたいことあるんだろう？糞ガキが家のことなんか心配すんなよー、俺はまだ若いさー」って言って、専門学校にも行かせてくれたさー。
就職が決まった時には、でーじ鼻水垂らして泣いてくれたさー。


初めての給料でスーツ作ってあげた時、ごうちゃんは子どもみたいにでーじはしゃいでたさー。
ごうちゃん、結婚式にも来てくれたね。
でもさー、神様なんて本当にいないみたいさー。
ごうちゃんは仕事中に倒れて、そのまま入院してしまったさー。
手術のあと1ヶ月で、天国に行ってしまったわけさー。


今でも忘れられんさー。
意識を失ったごうちゃんに、思わず「父さん！」って叫んでしまったよー。
その瞬間、自分でもびっくりしたけど、涙が止まらなかったさー。
ごうちゃんはうっすら目を開けて、ぼくの頭をなでてくれたさー。
その手は枯れ枝みたいに細かったけど、でーじあったかかったさー。
そして静かに目を閉じたさー。


ごうちゃん、病室で紹介した女の子と結婚して、子どもも生まれたさー。
男の子だよー。
ごうちゃんから一字もらったさー。
だっこしてほしかったさー。


あれから今日の命日まで、何年も過ぎたのに、やっぱり涙が止まらんさー。
実の両親の顔なんてもう思い出せんけど、血のつながりがなくても、あなたはぼくの父親であり、母親でもあったさー。
生まれ変わったら、本当のあなたの子どもとして生まれたいさー。
そして何度でも、頭をなでてほしいさー。


今、でーじ会いたいさー。