喫茶店アルバイトで“言い間違い”続出　忙殺の朝に起きた現場の実態を取材

■リード文
朝のピークタイムに多忙を極める都内の老舗喫茶店で、アルバイト店員による言い間違いが相次いだことが分かった。
2024年4月、複数の利用客や関係者への取材で明らかになったもので、現場では「ごゆっくりどうぞ」を「ごっくりどうぞ」と伝えるなど、緊張感と慌ただしさが生む意外な一幕があった。
背景には、近年の飲食現場における人手不足や業務過多があるとみられる。

■現場で相次ぐ“言い間違い”
都内の喫茶店で今春、朝のモーニングタイムにアルバイト店員による言い間違いが発生した。
4人組の女性客にホットコーヒーを提供した際、店員は「ごゆっくりどうぞ」と声をかけるべきところ、誤って「ごっくりどうぞ」と発言したという。
目撃した客の一人は「一瞬驚いたが、愛嬌のあるミスだった」と話す。

■厨房でも混乱　業務の逼迫が背景に
取材によると、同日の厨房では別のアルバイトA氏も「注文入りましたー」との声に対し、「はいどうじょー！」と勢い余って返答。
その直後、足を滑らせて転倒し、一時現場は混乱した。
店長は「忙しい時間帯にはこのようなことが起こりやすい。
安全管理には注意しているが、スタッフの心理的な余裕も課題」と明かす。

■人手不足と業務量増加の現状
東京都飲食業生活衛生同業組合の調査（2023年）によれば、都内飲食店の約76％が「人手不足」を実感している。
特に朝や昼のピーク時は、短時間に多くの注文が集中し、スタッフの負担が増大しやすいという。
関係者は「慣れない新人や短期アルバイトが多い現場では、こうした“うっかりミス”が生じやすい」と分析する。

■現場スタッフの声
現場で働くアルバイトB氏は、「お客様を待たせないよう必死だが、うっかり言い間違えることもある」と振り返る。
別のスタッフも「忙しいときはチームワークが重要。
ミスを責めず、笑い合って乗り越えている」と語る。

■今後の課題と専門家の見解
人材育成や労働環境の改善は、飲食業界共通の課題だ。
人材マネジメントに詳しい日本サービス業研究所の佐藤亮介主任研究員は「現場のストレス軽減と新人教育の充実が不可欠。
ミスを減らすには、十分な人員配置と業務フローの見直しが求められる」と指摘する。

今後、飲食現場では「安全・安心」と「働きやすさ」の両立がより一層問われそうだ。