「義兄嫁さん、連絡先教えてもらえませんか?」
その日、義兄宅を訪れた私にそう頼んだのは、疲れ果てた義兄嫁だった。
けれど私は、あえて「覚えていません」とだけ答え、静かにその家を後にした。
実は、その家では今、トメ(義母)が毎日のように義兄宅へ押しかけ、赤ちゃんの性別や名前にまで口出しし、家事の細かい指導や粗探しを続けていた。
義兄嫁はすっかり参ってしまい、私に愚痴をこぼしてきたのだ。
しかし、あの日私に「考えすぎ」「損な性格ね」と説教してきた彼女に、私はもう手を差し伸べる気になれなかった。
しかも義兄までがトメと同調し、義兄嫁の苦しみを「マタニティブルー程度」としか思っていない様子だった。
では、なぜ私がそんな態度を取ったのか。
それは、かつて私自身がトメのターゲットだったからだ。
結婚当初から、長男嫁には甘いのに、次男嫁である私には厳しく当たり、突然現れては粗探しと家事指導。
夫が何度も抗議しても「間違っていない」と言い張る。
耐えかねて夫婦で引っ越し、やっと静けさを手に入れた経緯がある。
しかしその時、義兄嫁は「トメは悪意なくやっている」「あなたが考えすぎ」と私を責め、トメを庇った。
だから私は、義兄嫁とも距離を置いた。
今、時を経てトメの矛先が義兄嫁に向かい、彼女は当時の私と同じ苦しみを味わっている。
義兄宅を出る際、過去の言葉を返そうかとも思ったが――それを口にせず、私は静かにこの連鎖から距離を置くことを選んだ。
なぜなら、「駄目嫁」の烙印を押された日から、私の中で義母との関係は終わっていたのだから。
そして今、その意味をようやく義兄嫁も理解し始めたのかもしれない。
スカッとする話:「義母の毒牙が義兄嫁へ―すべては“駄目嫁”の烙印から始まった」
「義母の毒牙が義兄嫁へ―すべては“駄目嫁”の烙印から始まった」
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