不思議な話:図書館のメモ──消えた手紙と卒業の春

図書館のメモ──消えた手紙と卒業の春

🎭 ドラマ に変換して表示中
○高校・図書館(夕方)

N:高校3年の春。
静かな図書館の一角で、私の日常は少しだけ揺れ始めた。

登場人物:
佐藤 美咲(18・おっとりした性格、地味な女子)
山本 彩香(18・美咲の親友、明るく世話好き)

(美咲、本棚の間を歩き、静かに本を選ぶ)

SE:ページをめくる音

(美咲、借りたばかりの本を開き、1枚の紙切れを見つける)

美咲:(驚いて)…え?

(メモには「こんにちわ」と書かれている)

(美咲、辺りを見回すが誰もいない)

(間)

○同・廊下(放課後)

(美咲、彩香と並んで歩く)

美咲:(小声で)ねぇ、彩香。
変なことがあったんだ。

彩香:(興味津々で)なになに?

美咲:(本を見せながら)図書館で借りた本に、こんなメモが挟まってたの。

彩香:(微笑みながら)それ、ラブレターとかじゃないの?

美咲:(苦笑しながら)いや、ただ「こんにちわ」ってだけ。
誰が書いたんだろう…。

○高校・図書館(翌週)

(美咲、再び本を借りる。
ページをめくると、またメモを発見)

SE:紙をめくる音

(メモには「こんにちわ。
このまえのよんでくれましたか」とある)

美咲:(息をのむ)(心の声)また…?どうして私だけ…。

(辺りを見回すが、図書館には数人しかいない)

(BGM:静かなピアノ)

○高校・教室(数日後)

N:それから、私は毎週のように本の中のメモを見つけるようになった。

(教室で、美咲がノートを広げている)

(メモ:「こんにちわ、こぶんのじかんねちゃだめだよ」)

美咲:(驚き、とまどう)(心の声)私のこと、見てたの…?

○高校・図書館(夕方)

(美咲、借りる前に本のページを確認するが、メモは挟まっていない)

(本を借りて移動中、ふと本を開くとメモがはさまっている)

美咲:(凍りつく)(手が震える)

○カフェ(放課後)

(美咲と彩香が向かい合って座る)

美咲:(声を潜めて)…最近、学校以外のことも書かれてるの。
家の近くのパン屋とか。

彩香:(真剣な表情で)それ、本当に大丈夫?誰かに見張られてるとか…。

美咲:(不安そうに)わからない。
怖いよ…。

○高校・中庭(昼休み)

N:三ヶ月が経った。
私はついに、耐えきれなくなり彩香に打ち明けた。

(美咲、うつむきながら)

美咲:(声を震わせて)もう、どうしたらいいかわからない…。

彩香:(優しく)じゃあ、返事書いてみたら?相手が誰か、わかるかもしれないし。

美咲:(少しだけ安心して)…うん、やってみる。

○自宅・自室(夜)

(美咲、便箋にペンを走らせる)

美咲:(心の声)「こんにちわ。
いつもありがとう。
でも、もうすぐ卒業だから手紙読めないんだ。
ごめんね。
さようなら。


(手紙を本に挟み、そっと閉じる)

○高校・図書館(数日後)

(美咲、本を借りる。
ドキドキしながらページをめくる)

(1枚のメモが落ちる)

SE:紙の落ちる音

(メモには「わかった。
ばいばい。
」の文字)

(美咲、そっと目を伏せる)(涙をこらえて)

N:それ以来、本の中にメモが入っていることはなかった。

(BGM:切ない曲調に変わる)

○卒業式・体育館

(美咲、静かに周囲を見渡す)

N:私の知らない誰かとの、ささやかな秘密のやりとり。
その正体は、今もわからない。

(美咲、遠くを見つめて、優しく微笑む)

(フェードアウト)
読了
スワイプして関連記事へ
0%
ホーム
更新順
ランダム
変換
音読
リスト
保存
続きを読む

コメント

まだコメントがありません。最初のコメントを投稿してみませんか?

記事要約(300文字)

ダミー1にテキストを変換しています...

0%
変換中