見えないつながりと境界線――図書館のメモが教えてくれたこと

高校三年生のとき、図書館で本を借りるたびに「こんにちわ」と書かれた謎のメモが挟まれていることに気づきました。
最初はささやかな偶然かと思いましたが、その内容が次第に自分の行動や日常を知っているかのように変化し、週ごとに届くようになっていきました。
他の人は同じ経験をしていないと知ったとき、私は不安になり、やがて友達に相談することにしました。

この小さな出来事から、いくつかの教訓が浮かび上がってきます。

まず、見えないコミュニケーションの力です。
言葉にならない想いや意図が、時として思わぬ形で自分に届くことがある。
それは、親しい人だけでなく、顔も知らない誰かとの間にも生まれるつながりかもしれません。
もし私たちが同じ状況になったら、その“見えないやりとり”がどんな意味を持つのか、どこまで受け入れるべきかを考えさせられます。

同時に、健全な人間関係には「境界線」が大切だということも実感しました。
好奇心や親しみが過度に踏み込むと、相手に不安や恐怖を与えてしまうことがある。
大切なのは、相手の気持ちや安心を尊重し、時には「ここまで」という線を引く勇気を持つことです。
たとえば私の場合、恐怖を感じたときにひとりで抱え込まず、友達に相談したことが、状況を変える第一歩になりました。

さらに、「手放すことの強さ」も学びのひとつでした。
最後に「ありがとう、でももうすぐ卒業だから」とメッセージを書いたことで、見えない相手とのやり取りも自然と終わりました。
何かをやめたり、別れを告げるのは勇気がいるものですが、それによって新しい安心や自由が生まれることもあります。

この体験を通じて、私たちは自分と他人の間に適切な距離を見つけること、困ったときには誰かに相談すること、終わりを告げる勇気を持つことの大切さを学べます。
もしあなたが、誰かとのやりとりや人間関係でモヤモヤや不安を感じたときは、自分の心の声に耳を傾けてみてください。
そして、無理なく、安心できる距離感や関係の在り方を選んでみる――それが、日々を心地よく生きるための小さな一歩になるかもしれません。

あなた自身の経験や身近な出来事を思い出し、今この瞬間の人間関係にも、この教訓を活かしてみてはいかがでしょうか。