■【起】〜静かな日常に潜む異変の兆し〜
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高校3年のある日、私はいつものように図書館で本を借りた。
その中に、見慣れない一枚のメモが挟まっていた。
そこにはたった一言、「こんにちわ」と書かれていた。
最初は誰かのいたずらだろうくらいに思って、深く気に留めなかった。
しかし、その小さな出来事が、私の静かな日常に新たな種を植えたのだった。
■【承】〜繰り返されるメッセージと高まる違和感〜
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翌週、また別の本を借りると、今度は「こんにちわ。
このまえのよんでくれましたか」とのメモが入っていた。
その日から、一週間に一度ほどのペースで、借りる本ごとに必ず新しいメモが現れるようになる。
どのメモも「こんにちわ」から始まり、時には「こぶんのじかんねちゃだめだよ」と、私の行動を知っているかのような内容まで書かれていた。
気味が悪くなり、誰が書いているのか調べようとしたが、私の直前に本を借りた人は毎回違い、周囲に同じ経験をした人もいなかった。
私は本を借りる前にページを確認するようにしていたが、気づけばいつの間にかメモが挟まれている。
不思議なことに、内容は学校の外での出来事にも及んでいた。
違和感と不安がじわじわと膨らんでいった。
■【転】〜恐怖が頂点に達した夜、決意の返答〜
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こんな状態が三ヶ月ほど続き、ついに私は恐怖を抑えきれなくなった。
これ以上一人では抱えきれないと感じ、友達に相談すると、「返事を書いてみたらどうか」と提案された。
私は震える手でメモを書いた。
「こんにちわ。
いつもありがとう。
でも、もうすぐ卒業だから手紙読めないんだ。
ごめんね。
さようなら。
」その手紙を本に挟み、返却した。
次に本を借りたとき、またメモが入っていた。
そこには「わかった。
ばいばい。
」と、短く書かれていた。
思わず心臓が跳ね上がり、緊張が頂点に達した。
■【結】〜静寂の中に残る余韻〜
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それから、どの本を借りてもメモは一切現れなくなった。
日常は静けさを取り戻したが、私は今もなお、あの奇妙な出来事の正体を知らないままだ。
図書館で本を手に取るたび、あの「こんにちわ」の文字を思い出す。
あの出来事は私の記憶の中に、静かな余韻とともに消えることなく残っている。
不思議な話:図書館の本に挟まれたメモ――静かな日常に忍び寄る小さな恐怖
図書館の本に挟まれたメモ――静かな日常に忍び寄る小さな恐怖
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