恋愛の話:君の声が届くまで――最後のラブレター

君の声が届くまで――最後のラブレター

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○バス車内(夕方)

SE:バスのエンジン音、ざわめき

N:あの日、君は突然だった。

ミナミ(17・明るく少し天然):(立ち上がり、目を潤ませて)「つ、付き合ってください!」

SE:車内が一瞬静まり返る

タクヤ(17・まじめで不器用):(驚いて)(周囲の視線に気づき、うつむく)

N:周りの視線が痛かった。
でも、君はまっすぐだった。

○駅前・待ち合わせ場所(夕方)

SE:時折通る電車の音

タクヤ:(時計を見つめて)(心配そうに周囲を見渡す)

N:初デートの日、君を3時間も待った。
胸が締めつけられた。

ミナミ:(息を切らせて駆け寄る)「ごめん、ごめん!寝坊しちゃって…」

タクヤ:(苦笑しながら)「もう…心配したよ。


○雑貨店(夜)

SE:マグカップが棚から落ちる音

N:ペアマグを買った日、君はすぐに落として割った。

ミナミ:(焦って)「あっ、ごめん!」

タクヤ:(笑うが、心の声で)「(心の声)またか…。


○水族館(昼)

SE:子どもたちの歓声、イルカの鳴き声

ミナミ:(イルカショーに夢中になる)

タクヤ:(はぐれてきょろきょろする)(不安そうに)

N:人混みで見失った君。
あの日から、僕たちはずっと手を繋いで歩いた。

○公園(夕方)

SE:小さな鈴の音

タクヤ:(ぬいぐるみを差し出す)

ミナミ:(受け取った瞬間、涙があふれる)(声を詰まらせて)「ありがとう…」

タクヤ:(驚き、戸惑いながらも微笑む)

N:君の涙に戸惑った。
でも、その笑顔が嬉しかった。

○ミナミの自宅前(夜)

ミナミ:(帰りたくなさそうに)「もうちょっとだけ…」

タクヤ:(困ったように)「親に怒られるよ?」

N:それでも一緒にいた時間が、今も宝物。

○タクヤの自室(夜)

SE:スマホの着信音が連続する

タクヤ:(布団の中で電話を耳に)(困り顔)

N:一緒に泊まった夜、君は友達に興奮して電話しまくった。
翌日、学校で噂になった。

○病院前・ベンチ(曇り)

SE:遠くで救急車の音

タクヤ:(不安げに手を握る)

N:君の病気のこと、僕には隠していたね。

ミナミ:(目を伏せて)「大丈夫だよ。
心配しないで。


タクヤ:(小さく頷く)(でも、どこか寂しげに)

N:一緒にいたかった。
君のすべてを知りたかった。

○駅のホーム(夕方)

ミナミ:(切符を握りしめる)(声を震わせて)「…ごめんね。
もう会えない。


タクヤ:(衝撃を受けて言葉が出ない)

SE:電車が遠ざかる音

N:君の病気が治ったと信じていた。
…でも、すぐに別れが訪れた。

○タクヤの部屋(数日後・夜)

SE:スマホの通知音が鳴らない静けさ

タクヤ:(部屋の片隅で、膝を抱えてじっとしている)

N:連絡が途絶えた日々。
本当に辛かった。

○高校・昇降口(春)

SE:下駄箱を開ける音

タクヤ:(封筒を見つけ、手に取る)

N:高校に入った春、君からの手紙が届いた。

○タクヤの部屋(夜)

タクヤ:(手紙を読みながら涙をこらえる)

SE:封筒を開ける音

N:でも、すぐに届いたのは君のお母さんからの手紙。

○回想・病院の廊下(静寂)

N:病気が治ったというのは嘘。
本当は治療のため、東京へ行ったんだと知った。

タクヤ:(手紙を胸に抱える)(嗚咽を漏らす)

N:嘘をつかれたことが、一番悲しかった。

○回想・公園のベンチ(夕暮れ)

タクヤ:(遠くを見つめて)(声を震わせて)「最後の瞬間くらい、一緒にいたかったよ…」

○タクヤの部屋(現在・夜)

SE:宅配便のチャイム音

タクヤ:(小包を開ける)

(中には闘病日記の1ページとピアス)

タクヤ:(ピアスを手に取り、そっと触れる)(涙をこらえて微笑む)

N:君の最後の願い。
「私以上に、誰かを愛してください。


タクヤ:(ピアスを自分のネックレスに付ける)

タクヤ:(深呼吸して、窓の外を見つめる)「新しい恋、始めるよ。
ありがとう、ミナミ。


(BGM:静かに切ない曲が流れ始める)

N:君と過ごしたすべての日々が、僕の宝物。

(カメラ、ゆっくりズームアウト)

(フェードアウト)
読了
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