右手には水ぶくれができていた。
スライムの欠片を、家の近くの溝で見つけて踏み潰した翌日のことだ。
両親に話しても信じてもらえず、あの出来事は夢だったのかもしれない。
でも、右手の痕だけが現実を語っていた。
なぜ私がそんなものを踏み潰す羽目になったのか――。
話は少しだけ前に遡る。
洗面所で、手についた緑色のスライムを必死に洗い流していた。
透明で目玉のようなものが見え隠れするその得体の知れない物体は、なかなか取れず、私は情けない声を上げながら片手で握り潰し、30分も洗い続けた。
やっと落ち着きを取り戻し、リビングに戻ってティッシュの箱を覗いたときには、もう何も見えなかった。
あの奇妙な体験の始まりは突然だった。
ティッシュでジュースを拭いていると箱が空っぽになり、何気なく箱の中を覗いた瞬間、そこに夜道が広がっていたのだ。
箱からは強い風が吹き上げ、指を入れると本当に風を感じた。
「なんじゃこりゃ、おもしろい!」とひとりで盛り上がっていたその時、指先にぬめっとした感触――それが、あのスライムだった。
すべての発端は、ただの留守番中の小さな失敗だった。
子供の頃、私はリビングでジュースをこぼし、慌ててティッシュを使い切った。
好奇心で覗いた空箱が、あんな異界への入り口だとは思いもしなかった。
今となっては、あのスライムの正体も箱の夜道も謎のままだ。
誰にも信じてもらえないだろうが、もしかしたら私はあの時、知らず知らずのうちに地球を救ったのかもしれない。
信じるかどうかは、あなた次第だ。
不思議な話:「右手の水ぶくれと消えたスライム:ティッシュ箱の怪異、逆行体験記」
「右手の水ぶくれと消えたスライム:ティッシュ箱の怪異、逆行体験記」
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