「もう女性と関係を持てない身体になってしまった。
」
今の私の人生は、完全に女性と無縁になってしまった。
すべては、あの山での出来事から始まったのだ。
時を少し戻そう。
大学卒業と同時に、私はAと別れた。
彼女は最後に「詳しい人に相談した方がいいんじゃない?」と言ったが、私はどうすればいいか分からず、ただ不安と後悔に苛まれていた。
Aと一緒にいるとき、私は異常な視線や不可解な現象に悩まされ、ついには行為自体ができなくなった。
動悸で意識を失い、白い手がベッドの下から現れる幻覚まで見るようになった。
Aだけではない。
その後に付き合った女性とも、同じ異変が起き、関係を進めることができなかった。
なぜ、こんなことになったのか。
話はさらにその前へと遡る。
あの異変の始まりは、ある雨の日の山での出来事だった。
Aと二人でハイキングに出かけ、人気のない山道を進み、お堂の裏にあった「立ち入り禁止」の道へと入ってしまったのだ。
険しい道を抜けて滝に辿り着き、雨に降られて洞穴に逃げ込んだ。
そこでAと私は、抑えきれない衝動のままに結ばれた。
あのときは、ただ自然の中で解放感に浸っていただけだった。
しかし、あの行為を境に、私の人生はゆっくりと壊れ始めていった。
翌日から、私は強烈な視線や不吉な夢に苦しめられるようになった。
夢の中で、屈強な男たちが山道を歩く男女を襲う――男性を滅多打ちにし、女性を無惨に弄ぶ。
私はその惨劇を誰かの視点で見ている。
夢から覚めても、現実の異変は止まなかった。
さらに時間を遡ろう。
大学生だった私は、Aと付き合い始め、日常を楽しんでいた。
Aの「近くの山へ行こう」という提案を、特に深く考えずに受け入れた。
晴れ予報に油断し、軽装で出発。
整備された山道、他に誰もいない静けさ、楽しい時間。
お堂の裏道に入ったときも、「立ち入り禁止」の看板は目に入ったはずなのに、好奇心と若さに任せて踏み入ってしまった。
そして現在。
私は、もう一度あの山を訪れた。
解決できるとは思っていなかったが、何かを確かめたかった。
お堂で作業していた老人から、こんな話を聞いた。
「昔、山賊がこの辺りで酷いことをしていた。
犠牲者の魂を鎮めるためにお堂が建てられた、と言われている」。
私は、知らずにその場所で冒してはならない行為をしてしまったのだろうか。
祟られてしまったのだろうか。
後悔だけが胸に残る。
「後悔先に立たず」──あの時、立ち入り禁止の先で何も考えずに過ごした自分に、今ならこう言い聞かせたい。
安易な好奇心と無知が、人生を取り返しのつかないものにしてしまうことがあるのだと。
怖い話:山の祟りに囚われて──あの日から始まった取り返しのつかない後悔
山の祟りに囚われて──あの日から始まった取り返しのつかない後悔
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