■【起】〜穏やかな日常と始まりの予兆〜
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これは、私が今も消せない後悔を抱え続けることになった物語です。
大学時代、私はAという女性と付き合っていました。
特に大きな悩みもなく、日々をのんびりと過ごしていました。
休日にはAと買い物に出かけたり、映画を観たり、二人きりの時間を楽しんでいました。
そんなある日、Aがふと「近くの山へハイキングに行こうよ」と提案してきました。
調べてみると、その山は電車で簡単に行ける範囲にあり、Aも「初心者向けで穴場みたい」と楽しそうです。
私は特に断る理由もなく、二人で山へ行くことに決めました。
■【承】〜楽しい冒険と軽率な一歩〜
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当日、私は晴れの予報を信じ、軽装で出発しました。
登山道は整備されていて、初心者の私たちでも気軽に自然を味わうことができました。
Aは「あの岩、人の顔みたいだね」と笑い、私もその無邪気な姿に癒されていました。
周囲に人影もなく、二人だけの静かな山歩きは特別な時間となりました。
しばらく進むと、小さなお堂が現れました。
Aは裏道のような細い道を発見し、「行ってみようよ」と目を輝かせます。
その入口には「立ち入り禁止」の看板がありましたが、当時の私は深く考えず、Aと共にその道へと足を踏み入れてしまいました。
険しい道を進み、滝のそばに着いた私たちは、おにぎりを食べながら自然の音に耳を傾けていました。
すると突然、空が曇り、雨が降り始めました。
大木の下で雨宿りをしたものの、止む気配がなく、Aの指差す洞穴に駆け込みます。
「雨、止まないねぇ」と談笑する中、Aがそっと手を握ってきました。
二人はそのまま自然に唇を重ね、欲望に身を任せてしまいました。
気がつけば雨は止み、私たちは何事もなかったかのように山を下りていきました。
■【転】〜忍び寄る異変と恐怖の記憶〜
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翌日、Aとファミレスで食事をし、そのまま私の部屋に泊まる予定でした。
いつも通りの流れのはずが、その夜から明らかな異変が始まりました。
Aと過ごす最中、何者かの強烈な視線を感じ、私は「誰かに見られているのではないか?」という不安に取り憑かれます。
Aが部屋を調べても異常はなく、その夜、私は奇妙な夢を見ました。
夢の中で、私は誰かの視点で山に立っていました。
屈強な男たちが何かを伺い、山道を通る男女四人組を襲撃します。
男性を無残に殴り倒し、女性を泣き叫ばせながら暴行するという、目を背けたくなる惨劇でした。
耐えきれず、私は目を覚ましました。
その後も、Aと行為に及ぼうとすると激しい動悸や意識の喪失、さらにはベッドの下から白い手が伸びてくるといった異常現象が私を襲います。
Aには何も感じられず、私だけが恐怖に苛まれる日々が続きました。
次第にAとの関係を楽しめなくなり、大学卒業と同時に別れることになりました。
Aは「詳しい人に相談した方がいいんじゃない?」と心配してくれましたが、私はどうすればいいのかわからず、ただ戸惑うばかりでした。
■【結】〜消えぬ後悔と残された影〜
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Aと別れた後、他の女性と付き合っても、同じように異変が起き、深い関係に進むことができなくなりました。
気づけば、私は異性との縁を断たれたまま年月が過ぎていきました。
ある時、あの山を再び訪れてみました。
解決は期待していませんでしたが、何か手がかりがあるかもしれないと。
偶然、お堂の近くで作業していた老人と話す機会を得ました。
「このお堂?昔、山賊がいて酷いことをしていたらしい。
結局退治されたけど、犠牲者の魂を鎮めるために建てたんだって話だね。
噂だけどね。
」
私は知らぬ間に、犠牲者の怒りや悲しみを背負ってしまったのでしょうか。
何も知らず、軽率に踏み込んだことで、取り返しのつかない罰を受けてしまったのかもしれません。
「後悔先に立たず」──あの時、何も考えずに行動した自分に、今ならそう言い聞かせたいのです。
怖い話:禁断の山で交わした約束──後悔が刻む取り返しのつかない記憶
禁断の山で交わした約束──後悔が刻む取り返しのつかない記憶
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