その日、アッガイはまるでチョコレートのように左腕が溶けて、としちゃんの背後に落ちてきた。
僕はその瞬間、なぜか背筋が凍り、秘密基地にもう二度と近づくまいと心に決めた。
その直前、僕たちは各自のおもちゃを回収しに秘密基地へ向かっていた。
アブちゃんが突然学校に来なくなり、そのまま引っ越してしまったことが、妙に心に引っかかっていた。
帰り際、としちゃんが「夢やったんやよな」とつぶやいて街灯のポールを蹴った。
すると、頭上から溶けたアッガイが落ちてきたのだ。
時計の針を少しだけ戻そう。
秘密基地で、僕たち三人と、途中から加わったアブちゃんはガンプラで遊んでいた。
楽しいはずの時間が、アブちゃんの「アッガイを返して」という一言から雰囲気が一変した。
おもちゃの取り合いがエスカレートし、アブちゃんは「いややぁ」と叫び、突然、信じられない出来事が起こった。
彼の身体がふわりと空中に浮かび、僕たちは身動きが取れなくなった。
アブちゃんは街灯のポールの上にアッガイを乗せると、地面に降り立ち、そのままどこかへ走り去った。
話はさらにさかのぼる。
僕が小学4年生のとき、けんちゃん、としちゃんと秘密基地を作った。
その日々は、学校帰りの小さな冒険だった。
ある日、クラスメイトのアブちゃんが、「まぜて」とガンプラを両手に持ってやってきた。
僕たちはそのガンプラ目当てに彼を仲間にしたのだった。
今になって思う。
あの日のアブちゃんの叫びと、浮かび上がる姿、そして誰も知らないうちに消えた彼のこと。
あのガンプラが、左腕の溶けたアッガイが、僕にとってガンダム系モビルスーツを少し怖いものにした理由は、単なる子供のケンカの結果ではなかったのかもしれない。
怖い話:チョコのように溶けたアッガイと、消えた友達の謎
チョコのように溶けたアッガイと、消えた友達の謎
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