不思議な話:立ち飲み屋で出会った、僕と御祓い師たちの奇妙なバイト日記

立ち飲み屋で出会った、僕と御祓い師たちの奇妙なバイト日記

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○最寄り駅前・立ち飲み屋(夜)

N:僕がこの町に越してきたのは、ちょうど7年前のことだった。
友達もいない夜、なんとなく入った立ち飲み屋。
その出会いが、僕の人生を変えるとは、思いもしなかった。

(ザワザワとした店内。
カウンターに座る主人公・ユウタ(25・やや陰のある青年))

○同・カウンター席(続き)

(太めの、派手な服装の女性・トキコ(50代・強烈な存在感)が、隣の席に座る)

トキコ:(ユウタを見て、顔色を変え)「ギャーッ!」

SE:グラスの落ちる音

ユウタ:(心の声)(まただよ…知らない人に叫ばれるのは、これで何度目だ)

(ユウタ、無視して酒を飲む)

トキコ:(身を乗り出して)「ちょっと、どこから来たの?仕事は?両親は?」

ユウタ:(面食らいながらも、苦笑して)「え、あの…引っ越してきたばかりで、会社員です。
両親は…まあ、普通です。


(トキコ、しげしげとユウタを観察)

○数日後・同じ立ち飲み屋(夜)

(トキコ、勢いよくユウタに店のカードを差し出す)

トキコ:「今度、私の店に来て!」

ユウタ:(戸惑って)「え、いや…別に興味ないんで…」

(トキコ、ぐいっとユウタの手にカードを握らせる)

(ユウタ、ため息をついてカードをポケットに突っ込むが、帰り道にゴミ箱へ)

○さらに数日後・立ち飲み屋(夜)

(トキコ、若い女性・ケイ(20・神経質そう)、痩せた男性・ヤスオ(40・無口)が現れる)

トキコ:「ちょっと、今から行くわよ!」

(ユウタ、強引に腕を掴まれ外へ連れ出される)

ユウタ:(心の声)宗教の勧誘か…最悪だ。

○夜道(続き)

(無言のまま歩く一行。
ユウタ、ケイに話しかける)

ユウタ:「あの…よく来るんですか?この店」

ケイ:(ビクッとして)「ヒィー!」

ヤスオ:「君が怖いんだよ」

(ユウタ、ショックで立ち止まる)

○トキコの店・外観(夜)

(古めかしい占いの看板。
三人に続いて中へ入るユウタ)

○同・店内

(どこか異様な雰囲気の店内)

ユウタ:(周囲を見渡しながら、心の声)これ…占いの館?宗教じゃなかったのか。

トキコ:「ねえ、あなた、うちで一緒に働かない?」

ユウタ:「え、働くって…何を?」

トキコ:「御祓いよ。
私たち、そういう仕事してるの」

(ヤスオ、無言で頷く。
ケイはソワソワしている)

ユウタ:「僕、普通に会社員なんで…」

トキコ:「土日だけでいいから。
バイトだと思って」

(間)

ユウタ:(少し考えて)「まあ…いいですよ。
幽霊も神様も信じてないし」

○翌週・○○区・住宅街(昼)

(自転車で現れるユウタ)

トキコ:(玄関先で腕組みして待つ)「バカ、徒歩で来いって言ったでしょ!」

ユウタ:「え、いや…歩くと遠くて…」

(しぶしぶ自転車を停めて家へ向かう)

○同・一軒家・居間

(中年夫婦が緊張した面持ちで迎える)

夫婦:「どうぞ、お茶でも…」

(トキコとケイ、家の中を見回す)

トキコ:(低く)「…ああ、いるわね」

ケイ:「…はい」

(ユウタ、何も感じずキョトンとする)

○同・2階・タカオと書かれた部屋

(トキコ、緊張した面持ちで扉を開ける)

トキコ:「何があっても、取り乱すんじゃないよ」

(中から、荒れた中学生・タカオ(14)が飛びかかってくる)

タカオ:「ガジャガジャガジャ!」

(トキコに殴りかかろうとする)

ユウタ:(恐る恐る近づく)

(タカオ、ユウタを見ると震え、ベッドの隅へ逃げる)

トキコ:「ユウタ、どこでもいいから叩いて!」

ユウタ:(戸惑いながら、そっと背中を叩く)

(タカオ、目を見開き、泡を吹いて倒れる)

SE:心臓の高鳴る音

○同・1階・玄関

(中年夫婦、泣きながら頭を下げる)

夫:「ありがとうございました…半年ぶりに、静かに寝ました…」

(ユウタ、複雑な表情で外へ)

○帰り道(夕方)

ユウタ:「…今の、何だったんですか?」

ケイ:(急にしゃがみこみ、嘔吐する)

トキコ:「あんた、相当なモノ持ってるね」

ユウタ:「は?何の話ですか」

トキコ:「守護霊とか、気とか…普通なら、生きてるのが奇跡だよ」

ユウタ:(困惑して、遠くを見る)

○トキコの店(夜)

(ユウタ、封筒を受け取る)

トキコ:「ご苦労さん。
10万入ってるから」

ユウタ:(中身を見て、呆然)

ユウタ:(心の声)中学生の背中を叩いて10万円…まあ、悪くない、か?

○数年後・空港(昼)

N:その後、僕は留学して、3年ぶりに日本へ戻ってきた。

○トキコの店(再会)

トキコ:(ユウタを見るなり、にやりと)「逞しくなったね」

○回想・御祓いの現場(モンタージュ)

(ユウタ、様々な家で御祓いのバイトをする。
ケイはそのたびに吐いている)

N:3年経っても、僕には“見えないもの”は見えないままだ。
それでも、ケイは毎回、仕事の後にゲロを吐く。

(ユウタ、申し訳なさそうにケイを見つめる)

○同・店外(夜)

ユウタ:(心の声)僕のせいなんだろうな、と思う。
だけど、この奇妙なバイトは、まだ終わる気配がない。

(BGM:静かにフェードアウト)
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