「再会のテラス――結婚式がくれた、もう一度の恋」

○ホテル・披露宴会場（夕方）

N：その日は、友人の結婚式――。

（華やかな会場。
笑い声やグラスの音が響く）

SE：乾杯のグラスが重なる音

○同・会場内（続き）

（主人公・美咲（28・落ち着いた雰囲気）、席に座り少し緊張した面持ち）

N：でも、心は晴れなかった。
そこには、かつての恋人が来ると知っていたから。

（美咲、周囲を見渡し、無意識に深呼吸する）

○回想・大学構内（数年前）

（美咲と元彼・悠斗（28・穏やかな笑顔）、楽しそうに歩く二人）

N：大学の4年間、彼と過ごした日々。
けれど、就職をきっかけに私たちは別れた。

（画面暗転）

○披露宴会場（現実に戻る）

（美咲、ふと遠くのテーブルに悠斗を見つける）

SE：小さく歓声が上がる

（嬉しそうな笑顔の悠斗）

美咲：（心の声）（少し微笑む）変わってないな……なんだか安心する。

（間）

（周囲の友人たちが美咲と悠斗の方に視線を向ける）

友人A：「ねぇ、美咲と悠斗って、昔付き合ってたんだよね？」

（美咲、苦笑しながらグラスを持ち上げる）

美咲：「まぁ……そうだったかな。
」

（ざわつくテーブル。
美咲、そっと席を立つ）

○ホテル・テラス（夕方・続き）

（美咲、一人でカクテルグラスを手に、夜風に当たっている）

N：結局、別れた理由なんて、今思えばほんの些細なことだった。

（美咲、遠くを見つめる）

○同・テラス（少し後）

（悠斗がゆっくり近づいてくる）

SE：ドアが静かに開く音

悠斗：（優しく）「……元気してた？」

（美咲、驚いて振り返る）

美咲：（動揺を隠しきれず）「うん、まぁ……」

（間）

悠斗：（少し間を置いて、真剣な目で）「……別れてから、何人かと付き合った。
でも、お前といる時が一番自然だった。
……今日、やり直したいと思って来た。
」

（美咲、目を伏せて、唇を噛む。
心が揺れる）

美咲：（強がりながら、でも嬉しさをこらえきれずに）「こんな時に、何言ってるの……友達の結婚式だよ？」

（悠斗、一歩近づく）

悠斗：（静かに）「……本気で言ってる。
」

（間。
二人、見つめ合う）

美咲：（戸惑いながらも、やがて小さく頷く）「私も……ずっと、そう思ってた。
」

（BGM：静かに、希望に満ちたメロディが流れ始める）

（悠斗、そっと美咲の手を取る）

N：結婚式の夜、もう一度、私たちの時間が動き出した。

（カメラ、ゆっくり二人をクローズアップ）

（フェードアウト）