「友人の結婚式で、元彼とやり直すと決めた瞬間から始まる物語」

「私もそう思ってた」と、思わず口にしてしまった。
まさか、友人の結婚式で元彼ともう一度やり直すことになるなんて、誰が予想しただろう。

その直前、テラスで一人カクテルを手にしていた私のところへ、彼が現れた。
「元気してた？」と声をかけられ、驚きと戸惑いが入り混じる。
それでも、懐かしさが胸を満たす。
彼は続けて、「別れてから何人かと付き合ったけど、お前といる時が一番自然だった。
やり直したいと思って、今日来たんだ」と真剣な目で言った。
冗談めかして「友人の結婚式で何言ってるの？」と返しながらも、心の奥では嬉しさが込み上げていた。

時計の針を少し巻き戻そう。
披露宴で彼を見つけたとき、久しぶりなのに変わらない姿に、私は安堵していた。
しかし、その安堵も束の間。
お酒の勢いもあり、「そういえば、昔付き合ってたよね」などと周囲に話題を振られてしまい、私は気まずさからその場を抜け出したのだった。

そもそも、今日の結婚式に参加するのが少し憂うつだったのは、彼が来ると知っていたからだ。
彼とは大学4年間付き合い、就職を期に価値観の違いで別れた。
よくある話だが、心のどこかで再会を期待していたのも事実だった。

思えば、些細なことで別れた私たち。
けれど、こうしてまた出会い、気持ちを伝え合えたのは、あの日の結婚式があったからこそ。
偶然に見えて、あれは私たちにとっての新しい始まりだったのかもしれない。