恋愛の話:結婚式が結び直す、止まった時間とふたりの距離

結婚式が結び直す、止まった時間とふたりの距離

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■【起】〜再会への予感、揺れる心〜
───────

その日は友人の結婚式だった。
祝福に満ちた一日になるはずなのに、私はどこか気が重かった。

理由は一つ、学生時代の元彼が出席すると知っていたからだ。

彼とは大学の四年間付き合い、就職を機に価値観の違いで別れた。
よくある話だと思いつつも、心のどこかに引っかかるものがあった。

少し憂うつな気持ちの中で、実は彼に再会できることを密かに楽しみにしている自分にも気付いていた。

■【承】〜懐かしさと気まずさのはざまで〜
───────

披露宴が始まり、会場の片隅に彼の姿を見つけた。
その変わらない雰囲気に、なぜか安堵してしまう。

けれど、その安堵は長くは続かなかった。
お酒の力もあってか、周囲で「そういえば、昔付き合ってたよね」と話題が持ち上がる。

私はその場の居心地の悪さから逃げるように、テラスに出て一人カクテルを手にした。

グラスを傾けながら、別れた理由なんて今思えば些細なことだったと、二人で過ごした日々がふいに蘇る。

■【転】〜突然の告白、揺れる想い〜
───────

ふと背後から「元気してた?」と声がかかる。
振り返ると、そこには彼が立っていた。

驚く私に、彼は真剣な眼差しで続けた。
「別れてから何人かと付き合ったけど、お前といる時が一番自然だった。
やり直したいと思って、今日来たんだ。


「友人の結婚式で何を言ってるの?」と冗談めかして答えながらも、胸の奥で嬉しさがじわじわと広がっていくのを感じた。

■【結】〜新たな始まり、再び寄り添うふたり〜
───────

私は正直な気持ちを隠せず、「私もそう思ってた」と伝えた。

あの日止まったままだと思っていた時間が、ふたりの間で再び動き出す。

結婚式という新しい門出の場で、私たちもまた新たな一歩を踏み出したのだった。
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