○会社・事務所(昼)
N:あれは、私がまだ二十代だった頃のこと。
(BGM:静かなオフィスの空気)
(電話が鳴る)
SE:電話のベル音
○同・デスク周辺(続き)
登場人物:
ユリ(25・落ち着いた雰囲気、事務職)
上司・佐藤(40代・渋い声の男性、頼れる雰囲気)
(ユリ、机で書類整理をしている)
SE:書類をめくる音
ユリ:(小さくため息をつきながら)今日も平和だな…(心の声)
SE:電話のベル音が鳴り続く
(ユリ、受話器を取る)
ユリ:(明るく)お電話ありがとうございます、○○株式会社です。
謎の男(電話の声):…○○ちゃん?(馴れ馴れしい口調)
(ユリ、一瞬きょとんとする)
ユリ:(少し戸惑って)あの…こちらは会社ですが、○○さんという方はおりません。
謎の男:(間)…あれ?そうなんだ。
声が、○○ちゃんにそっくりだったからさ。
(ユリ、苦笑しながらも違和感を覚える)
ユリ:いえ、私はユリと申します。
お間違いかと…。
謎の男:(声のトーンが変わる)なんだ、でも優しいね。
声も綺麗だし…。
(ユリ、受話器を持つ手が少し震える)
ユリ:(困惑しながら)あ、はい…ありがとうございます…(言葉に詰まる)
謎の男:(やや執拗に)本当、優しそうだよね…(間)
(ユリ、周囲を見回し、上司の佐藤に目で助けを求める)
(徐々に電話の向こうから、息遣いのような不穏な音が漏れてくる)
謎の男:(息を荒げて)…はぁ、はぁ…
(ユリ、顔色が変わる)
ユリ:(声を震わせて)あの、失礼します…(受話器をそっと下に置き、立ち上がる)
(ユリ、佐藤のもとへ歩み寄り、受話器を差し出す)
ユリ:(小声で)すみません、ちょっと…代わっていただけますか。
(佐藤、ユリのただならぬ様子に気付き、真剣な表情で受話器を受け取る)
佐藤:(渋い低音で)もしもし――
SE:ガチャッと電話が突然切れる音
(ユリ、ほっとしたように肩を落とす)
佐藤:(受話器を置きながら)大丈夫か?何か変なやつだったか?
ユリ:(力なく微笑み)……はい、間違い電話…だったみたいです。
N:あの電話が、本当にただの間違いだったのか。
それとも、最初から悪意のあるものだったのか。
(ユリ、窓の外を見つめる)
N:今でも、その答えはわからない。
だけど――
(BGM:静かにフェードアウト)
N:心に残る、忘れられない出来事のひとつだ。
(画面暗転)
仕事・学校の話:知らない声、揺れる心――オフィスに鳴った一本の電話
知らない声、揺れる心――オフィスに鳴った一本の電話
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