20年前、団地に暮らしていた私は、ある雨の夜、帰宅途中に傘も差さず公園に立つ少年を見つけます。
寒さと雨の中、彼は向かいの団地をじっと見つめ、不気味なほど動きません。
翌朝も彼は同じ場所に立っており、私は耐えきれず傘を差し出しますが、彼は「ありがとうございます」とだけ答え、理由を語りません。
その後も何時間も同じ場所に立ち続けていました。
気になって知人に連絡すると、少年は一ヶ月前に急性白血病で亡くなった16歳の娘の恋人だと知ります。
彼女を失った悲しみから、雨の中で彼女を想い続けていたのです。
彼の姿は今も私の記憶に鮮明です。
あの夜の彼は、哀しみと強さを静かに背負い、青年の心の葛藤を象徴していました。
切ない話：雨の中に立ち尽くす少年―忘れられない哀しみの夜
雨の中に立ち尽くす少年―忘れられない哀しみの夜
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