「このマネキンを下ろした人間は死ぬ」「このマネキンを下ろした人間の、最も愛する者が死ぬ」――腹部に赤い文字でペンキが塗りつけられたマネキンを前に、俺と友達、そして親父は凍りついていた。
山奥で拾った“人形”の処分が、こんな呪いの言葉とともに終わるとは、誰も想像していなかった。
なぜ俺たちがこんな目に遭ったのか。
すべては、日曜日の山中で友達が突然叫び声を上げたのがきっかけだった。
俺は木の枝ででも怪我をしたのかと思ったが、友達はただ上を見ている。
つられて視線を上げた先――木の枝に、二体の首吊り死体がぶら下がっていたのだ。
あまりの光景に声も出なかった。
パニックの中でしばらく眺めていると、それらが人間ではなく、マネキンであることに気づいた。
イタズラにしては悪質すぎる――そう怒りながら、俺たちは急いで山を下り、家で親父に事情を説明した。
親父は脚立、手斧、枝切りバサミを担いで、俺たちと一緒に現場へ向かった。
親父が脚立に上り、俺と友達がそれを支える。
親父は手際よくロープを切り、マネキンを地面に落とした。
「こんなもの、さっさと処分しよう」と三人で納屋まで運び、誰にも人形だとわからないように砕いて捨てることにしたのだ。
だが、そこで異変が起こった。
マネキンの粗末な衣服を剥がすと、腹部に赤ペンキで描かれたあの警告文が現れた。
さらにもう一体にも、同じように呪いの言葉が。
「ジュースでも買ってこい」と親父は俺たちを納屋から追い出し、その間に二体のマネキンをバラバラに砕いてくれた。
それ以来、俺と友達、そして親父の間でこの話題は禁句となった。
「最も愛する者が死ぬ」――その言葉が、今もずっと心に引っかかっている。
実は、すべての始まりは、子供の頃から続く「裏山でのキノコ採り」だった。
じいちゃんに教わり、友達と気軽に入った山。
そこに潜んでいたのは、不気味なマネキンと、後戻りできない“呪い”だったのだ。
怖い話:「マネキンを下ろした人間は死ぬ」――呪いの始まりと終わり
「マネキンを下ろした人間は死ぬ」――呪いの始まりと終わり
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