怖い話:山奥の首吊りマネキンと、消えない呪いの言葉

山奥の首吊りマネキンと、消えない呪いの言葉

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■【起】〜静かな田舎と家族の記憶〜
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子どもの頃から田舎で暮らしてきた。
シーズンになると、裏山にキノコ採りに出かけるのがわが家の恒例行事だった。
小学生のころは祖父と一緒に山を歩き、キノコが採れる秘密の場所を教えてもらった。
中学生になってからは、一人や友達と山へ入ることも増えた。

そんな日常のなかで、ふと思い出すのは、「山奥で家族のように並んでいたマネキンが傷つけられていた」という昔聞いた話。
不思議で少し不気味なその記憶が、頭の隅に残っていた。

■【承】〜平穏な山歩きと、予兆の叫び声〜
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ある日曜日、友達といつものように山に入り、順調にキノコを収穫していた。
そろそろ帰ろうかと話していたその時、突然友達が叫び声を上げ、その場に座り込んだ。

最初は木の枝で怪我でもしたのかと思ったが、友達は上を見上げて固まっていた。
つられて自分も見上げると、そこには信じられない光景があった。
木の枝から、二体の首吊り死体がぶら下がっていたのだ。

あまりの衝撃に声も出なかったが、よく見ると、それは人間ではなくマネキンだと気づいた。
だが、イタズラにしては悪質すぎる。
動揺しながらも友達と山を下り、家に戻って父親に事情を説明した。

■【転】〜呪いの言葉と凍りつく心〜
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父は脚立と手斧、枝切りハサミを持ち、三人でマネキンの回収に山へ戻った。
父が脚立に登り、僕と友達が脚立を支える。
父は器用にロープを切り、マネキンを地面に落とした。

「こんなもの、さっさと処分しよう」と言い、マネキンを納屋へ運び、砕いて捨てる準備をした。
粗末な衣服を剥がしていくと、マネキンの腹部に赤いペンキで大きな文字が書かれているのが見えた。

「このマネキンを下ろした人間は死ぬ」

全員が凍りついた。
さらにもう一体の服を剥がすと、そこにも書かれていた。

「このマネキンを下ろした人間の、最も愛する者が死ぬ」

その場の空気が一気に冷えた。
父は動揺する僕たちを見て、「ジュースでも買ってこい」と納屋から追い出し、その間にマネキン二体をバラバラに砕いて処分してくれた。

■【結】〜話せなくなった呪いの余韻〜
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それ以来、あの出来事については、僕も友達も父も一切口にしないようにしている。
「最も愛する者が死ぬ」という文字が、今も心の奥底に重く残っている。

山の静けさの中に、あの呪いの言葉だけが消えずに響いている気がして、今もときどき不安な気持ちになる。
忘れたいのに忘れられない、奇妙な恐怖だけが、静かに残っている。
読了
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