○自宅・リビング(夜)
(部屋には重苦しい空気。
夫婦が向かい合っている)
登場人物:
・佐藤 剛(40・会社員、無精髭、疲れた表情)
・佐藤 美和(38・専業主婦、鋭い目つき)
剛:(怒りを抑えて)
「いい加減にしてくれよ、美和…毎日毎日、俺だって疲れてるんだ。
」
美和:(声を荒らげて)
「私だって我慢してきたのよ!あなた、全然分かってない!」
(言い合いはどんどん激しくなる)
SE:グラスが机にぶつかる音
剛:(椅子から立ち上がり、美和に詰め寄る)(息を荒くして)
「…もう、やめよう。
こんな生活。
」
(美和、剛を睨み返す)
(間)
(カメラ、剛の顔にゆっくりズームイン)
(画面暗転)
○同・浴室(深夜)
(剛、浴室で膝を抱えて座り込んでいる。
ハァ…と息を吐く)
N:その夜、夫婦の争いは最悪の結末を迎えた。
N:剛は、衝動的に美和を——。
SE:水滴が床に落ちる音
(剛、震える手で浴室の扉を閉める)
○翌日・自宅・リビング(朝)
(カーテン越しに弱い日差し。
剛は無理やり普段通りを装う)
登場人物:
・佐藤 悠斗(8・無垢な瞳、短髪)
悠斗:(朝食の席でパンをかじる)(無表情)
剛:(声を作って明るく)
「悠斗、学校の準備できてるか?」
悠斗:「うん。
」
(いつもと変わらぬやり取り。
しかし美和の姿はない)
N:剛は、美和の遺体を人目のつかない場所に隠した。
N:何事もなかったかのように、日常は続いていく——。
○数日後・自宅・リビング(夜)
(剛、独りで酒をあおる。
テレビの音が虚しく響く)
SE:グラスを置く音
剛:(ぼそりと)(自嘲気味に)
「…何やってんだ、俺。
」
(ふと、悠斗の存在を思い出す)
剛:(心の声)
(目を伏せて)
『悠斗…あいつに、どう説明すればいい?母さんのこと…』
○1週間後・自宅・リビング(夕方)
(悠斗、宿題をしている。
剛はソファに沈んでいる)
(間)
N:1週間が経ち、やがて1ヶ月が過ぎようとしていた。
N:だが不思議なことに、悠斗は一度も母親のことを尋ねなかった——。
○同・寝室(夜)
(電気の消えた部屋。
剛、天井を見つめている)
剛:(心の声)(不安げに)
『まさか…悠斗も美和を嫌ってたのか?それにしても、何も言わないのはおかしい…』
(剛、決意を込めてゆっくり起き上がる)
○自宅・リビング(翌日・朝)
(悠斗がランドセルを背負う。
剛はテーブルに座っている)
(長い沈黙)
剛:(探るように)(優しく微笑んで)
「なぁ、悠斗。
お父さんに…何か聞きたいことはないか?」
(間)
剛:(言いよどみながら)
「例えば…お母さんのこととか…」
(悠斗、手を止めて剛をじっと見る)
悠斗:(首をかしげて、無邪気に)
「うーん…なんでお父さんは、いつもお母さんをおんぶしてるの?」
(剛、表情が凍りつく)(手が震える)
SE:時計の秒針の音が、やけに大きく響く
(カメラ、剛の顔をアップ。
口元が引きつる)
(間)
N:静かな家に、再び不穏な空気が満ちていく——。
(BGM:不穏な音色が静かに流れ始める)
(フェードアウト)
怖い話:静かな家に潜む影 〜消えた母と、父子の1ヶ月〜
静かな家に潜む影 〜消えた母と、父子の1ヶ月〜
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