「なんでお父さんはお母さんをおんぶしてるの？」から始まる家族の謎

「ん〜、なんでお父さんはいつもお母さんをおんぶしてるの？」

その瞬間、背筋を氷でなぞられたような衝撃が走った。
まるで何もなかったかのように日常を送っていたはずだった。
だが、子供の無邪気な一言が、すべてを暴き立てる――夫はその言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。

話は1ヶ月ほど前に遡る。
夫婦仲は最悪で、毎日のように激しい口論が続いていた。
ある日、ついに取り返しのつかない事件が起こる。
激しい喧嘩の末、夫は妻を殺めてしまったのだ。

慌てて遺体を家のどこかに隠した夫は、何事もなかったふりをして日々を過ごし始める。
しかし大きな問題があった。
彼らには子供がいたのだ。
母親が突然いなくなったことを、子供にどう説明すればいいのか――夫は常にその恐怖と隣り合わせだった。

しかし、子供は一向に母親の行方を尋ねようとしない。
数日、1週間、そして1ヶ月が過ぎても、母親の話題を出さないのだ。
不気味さと疑念が夫の心に渦巻く。
「もしかして、この子も母親を嫌っていたのか？」それにしても、まったく触れないのは不自然すぎる。

ついに夫は、ある晩、子供にさりげなく尋ねた。
「なぁ○○、お父さんに聞きたいこととかないかい？例えばお母さんのこととか…」

子供は首をかしげて、先ほどの言葉を告げたのだった。

実は――子供の目には、夫の背中にしがみつく母親の姿が、ずっと見えていた。
夫がどれだけ隠そうとしても、“お母さん”は決して離れていなかったのだ。