「小さな裏切り――娘の秘密と黒いリスト」

○携帯ショップ・カウンター（昼）

登場人物：
佐藤優子（40・会社員・真面目）、店員（20代・明るい）

（優子、カウンターに書類を差し出す）

佐藤優子：「新しい携帯を契約したいんですが…」

店員：「かしこまりました。
あの…未納料金があるようです」

（SE：キーボードを打つ音）

佐藤優子：（目を丸くして）「え？　未納…？」

（優子、慌ててスマホを取り出し、請求履歴を確認）

佐藤優子：「そんなはず…毎月ちゃんと払ってます」

店員：「こちらの番号ですが…お心当たりありますか？」

（優子、画面を見る。
見覚えのない番号）

佐藤優子：（困惑して）「これ…私のじゃありません」

（店員、さらに調べる）

店員：「名義は佐藤優子様ですね。
iPhoneのご契約です」

佐藤優子：（小声で）「iPhone…？」

（SE：心臓の鼓動が高鳴る音）

○自宅・リビング（夜）

登場人物：
佐藤優子、佐藤美咲（11・小学生・おとなしい）

（優子、机の上に督促状を広げる。
美咲は目をそらしている）

佐藤優子：（静かに）「美咲、何か知ってることある？」

佐藤美咲：（震える声で）「ごめんなさい…」

（優子、驚いて振り返る）

佐藤優子：「まさか…美咲、あなたが？」

佐藤美咲：（涙ぐみながら）「お年玉の通帳とママの免許証…使っちゃった…」

佐藤優子：（声を震わせて）「どうして…？」

佐藤美咲：「スマホ、欲しかったの…でも、怒られると思って…」

（SE：静かな沈黙）

○回想・携帯ショップ（数週間前・昼）

（美咲、制服姿でカウンターに立つ）

店員：「保護者の方は？」

佐藤美咲：「来れません…でも、大丈夫です」

（店員、書類に目を通し、手続きを進める）

（BGM：不穏な曲調）

○自宅・リビング（夜）

（優子、怒りを抑えて）

佐藤優子：「一人で…契約できたの？」

佐藤美咲：「うん…書類見せたら、売ってくれたの」

（優子、深く息を吐く）

佐藤優子：（苦々しく）「ショップにも問題があるわ…」

（夫が合流する）

佐藤健一（42・優子の夫・穏やか）：（小声で）「明日、ショップに行ってみよう」

（優子、うなずく）

佐藤優子：（心の声・N）まさか、娘がこんなことを…。
でも、売る側もどうなのか――。

○自宅・寝室（深夜）

（優子、ベッドで目を閉じられずにいる）

N：驚きと悲しみで、眠れない夜が続いていた――。

（BGM：切なく静かな曲が流れる）

（画面フェードアウト）