不思議な話:沈まぬ太陽に焼かれて 〜図書室の呪い〜

沈まぬ太陽に焼かれて 〜図書室の呪い〜

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○回想・中学校図書館(夕方)

N:もう十年ほど前のことだ。
私は、裏の世界を垣間見ることになった。

(静かな図書館。
少女が本棚の前で佇む)

登場人物:
・ミサキ(14・内気な女子中学生)
・司書(40・穏やかな女性)

ミサキ:(目を伏せて)
(独り言)…また読みたい本がなくなっちゃった。

(本棚の奥で一冊の奇妙な本に気づく。
手に取る)

SE:古い本を開く音

(表紙には不思議な絵。
タイトル「沈まぬ太陽」)

ミサキ:(不安げに本をめくる)
…これ、何の絵だろ。

(ページには押し花、奇妙な文章、謎めいた太陽とレモンの絵)

ミサキ:(声をひそめて)
気味悪いけど…気になる…。

(ページをめくるごとに、不穏な太陽、人間が溶ける絵)

○図書館・奥の席(同)

(ミサキ、夢中で本を読み続ける)

SE:遠くから叫び声

(周囲の生徒がミサキを振り返り、ざわめく)

ミサキ:(ハッと我に返る)(周囲を見渡す)
(心の声)…なんだろう、この空気。
息苦しい…。

○図書館・出口(夕方)

(ミサキ、急いで図書館を出る。
外に出ると空が濁って見える)

ミサキ:(戸惑いながら歩く)
なんだろう…いつもと違う。

○異界の海辺(不思議な色の空・夕方)

(見たこともない景色。
黒い海、赤に近いピンクの空)

SE:波音が不気味に響く

(防波堤で釣り人が釣りをしている。
バケツの中で奇妙な魚が暴れる)

登場人物:
・釣り人(30代・優しげな男性)

ミサキ:(恐る恐る近づく)
あの…ここ、どこですか?

(釣り人、一瞬驚くがすぐに釣りを続ける)

ミサキ:(立ち止まる)(不安そうに)
……。

SE:不意に「喰われるぞ」という低い声

ミサキ:(驚いて)
え?

SE:カラスのような鳥の鳴き声、急襲音

(ミサキの手を鳥が突く。
血が滲む)

ミサキ:(痛みに顔をしかめる)
痛っ…!

(釣り人、魚を鳥に投げる)

釣り人:(真剣な表情で)
急げ。
ここは危ない。

ミサキ:(息を切らせて走り出す)

○異界・海岸沿いの道(夕暮れ)

(ミサキ、必死に走る。
後ろを振り返ると、太陽が巨大化し、景色が蒸発していく)

ミサキ:(声を震わせて)
やだ、やだ…!

○病院・病室(朝)

(ミサキ、ベッドの上で目を覚ます。
看護師が駆け寄る)

登場人物:
・看護師(30・優しい女性)
・医師(50・冷静)

看護師:(安堵して)
よかった、気がついたんですね!

医師:(カルテを確認しながら)
長い間、眠っていましたよ。

ミサキ:(戸惑いながら)
私…何が…?

N:私は、本を読んでいる最中に倒れ、一ヶ月も眠っていたのだという。

(枕元にはクラスメイトたちの寄せ書き)

○病室・窓辺(数日後)

(ミサキ、寄せ書きを手に取る。
Kの文字に気づく)

N:後日談が三つ、残された。

(回想シーンがフラッシュバックのように挿入)

○回想・アルバムをめくるミサキの自宅(夜)

N:裏の世界で私を助けてくれた釣り人は、亡くなった叔父だった。
アルバムには一緒に写る私と叔父の姿があった。

(ミサキ、そっと写真を撫でる)

○病室・手の甲を見つめるミサキ(夜)

N:鳥につつかれた傷は、現実の私の手にも残っていた。

(ミサキ、驚きに目を見開く)

○回想・クラスメイトのKの机(静かな教室・夕方)

N:そして、私が眠っている間に、クラスメイトのKが自ら命を絶った。

(寄せ書きの中に、「沈まぬ太陽」の文字)

N:Kは図書委員からあの本を借り、「呪いの書」と呼んで燃やしたそうだ。

○図書館・本棚(放課後)

(ミサキ、本棚を探すが、あの本はもうどこにもない)

○現在・大学図書館(昼)

(大人になったミサキ、静かに本を読む)

N:私は普通に大学を卒業し、今は社会人だ。
読書は好きだが、作者不明の本だけは二度と読まない。

(ミサキ、窓の外の太陽を見上げる。
目を細めて微笑む)

(BGM:静かにエンディングテーマに変わる)

(フェードアウト)
読了
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