「異世界」への入り口か？――小学生時代の不可解な体験を追う

小学校五年生の夏休み、「家の裏のグランド」で自由研究として昆虫観察を行っていた男性A氏（現在30代）が、不可解な空間転移体験をしたと証言している。
A氏は本紙の取材に対し、「地下通路を通った先で、日常とかけ離れた“もうひとつの世界”に迷い込んだ」と当時を振り返った。

■錆びた扉の先にあったもの
A氏によると、事件が起きたのは夏休みの昼下がり。
普段通い慣れたグランドの隅で、使われていない錆びた鉄扉を偶然発見、開けた先には地中へと続く梯子が現れたという。
好奇心に駆られたA氏は、家から懐中電灯を持参し、梯子を下りた。

地下に降りると、床は金網で下には暗渠（あんきょ：地下の排水路）らしきものが見え、小さな水音が響いていた。
悪臭がなかったため「下水道ではない」と認識したA氏は、懐中電灯を頼りに通路の奥へと進んだ。

■異変――「見知らぬ世界」への到達
通路を進むと鉄格子が行く手を遮り、脇には再び梯子が設置されていた。
A氏は「もっとすごいものが見られると思ったが」と落胆しつつ、梯子を上って地上に出た。
しかし、予想に反して出たのは元のグランドであり、しかも時刻は夕暮れになっていた。
昼過ぎの入場からわずか数十分しか経っていないはずだった。

さらに周囲の風景は「微妙に違っていた」とA氏は証言する。
馴染みの駄菓子屋が民家に、公民館が病院になっており、道路標識も見覚えのないものに変化していたという。

■「裏世界」に迷い込んだ恐怖
A氏は急いで自宅に戻ったが、そこにも違和感があった。
庭には見覚えのない巨大なサボテン、玄関脇にはレバー状のインターホン、そして奇妙なデザインの赤い車が駐車していた。
家の中を窓越しにのぞくと、父親と学校の音楽教師が紫の甚兵衛（じんべえ：和装の一種）姿で談笑していた。
「裏世界に来てしまった」と感じたA氏は、恐怖に駆られ、再びグランドへと戻り、地下通路を必死に駆け抜けたという。

やがて元の鉄扉から地上に戻ると、風景は元通りになっていた。
A氏は「冷や汗をかきながら必死だった。
戻れなくなる気がした」と当時の恐怖を語る。

■その後と専門家の見解
以降、A氏はグランドに近づくことができなくなり、転居により現場から離れた。
数十年後、仕事で同地を再訪した際にも、「恐怖がフラッシュバックして近づけなかった」と振り返る。
現在も、当時の出来事の正体は分かっていない。

今回の証言について、超常現象研究家のB氏は「異世界体験は日本国内でも年数件の報告があり、地下空間や時刻の錯誤、景色の微細な変化など共通点が多い」と指摘する。
一方、心理学者のC氏は「強いストレスや既視感（デジャヴュ）、記憶の混同による誤認の可能性も考えられる」と冷静に分析する。

A氏の体験は、果たして「異世界」だったのか、あるいは脳が生み出した幻覚だったのか――。
専門家による調査や類似事例の発見が、この謎を解明する手がかりになるかもしれない。
読者の中にも、似たような経験を持つ方がいれば、ぜひ情報をお寄せいただきたい。