来月は弟の十三回忌だ。
十二月の朝、ランニングから帰ると救急車が家の前に停まっていた。
母親が布団の中で冷たくなった弟を見つけたのだ。
原因は心不全。
だが、俺と兄貴はそれだけだとは思っていない。
その理由は、あの夢にある。
家族で昔話をしていた正月、母親がぽつりと言った。
「お前たち兄弟には夢遊病の癖があったんだよ。
」
自分も兄貴も、夢遊病だった記憶はない。
しかしその言葉に、俺の中で何かが繋がった。
昔、兄貴に聞いたことがある。
「かくれんぼする夢、見たことない?」
兄貴は「小学生のころ何回か見た」と答えた。
「一緒にかくれんぼしてた子に誘われたことない?」
「川原に行こうって誘われたけど、断った。
」
「俺も同じだ。
最後にその子に言われなかった?『じゃいいや。
弟と行くから』って。
」
話はさらに遡る。
小4の弟、当時中2の俺、高1の兄貴。
兄貴は寮生活で家にいなかった。
俺は毎朝ランニングしていた。
ある夏の日、弟がベッドにいない。
外に出ると、庭で眠っていた。
その後も弟が時々消え、机の下やタンスの陰など、家の中で隠れるように見つかることがあった。
今になって思う。
弟が見ていた夢の内容は、結局誰にも分からない。
奴は「川原へ行こう」と誘われ、ついて行ったのか。
それとも、末っ子だったからなのか。
これは親には絶対話さない、俺と兄貴だけの秘密だ。
あの夢が現実と交差した瞬間を、俺たちは決して忘れない。
不思議な話:「弟の十三回忌から始まる夢遊病の謎」
「弟の十三回忌から始まる夢遊病の謎」
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