不思議な話:「弟の十三回忌から始まる夢遊病の謎」

「弟の十三回忌から始まる夢遊病の謎」

🔄 オチから に変換して表示中
来月は弟の十三回忌だ。

十二月の朝、ランニングから帰ると救急車が家の前に停まっていた。

母親が布団の中で冷たくなった弟を見つけたのだ。
原因は心不全。
だが、俺と兄貴はそれだけだとは思っていない。

その理由は、あの夢にある。

家族で昔話をしていた正月、母親がぽつりと言った。
「お前たち兄弟には夢遊病の癖があったんだよ。

自分も兄貴も、夢遊病だった記憶はない。
しかしその言葉に、俺の中で何かが繋がった。

昔、兄貴に聞いたことがある。
「かくれんぼする夢、見たことない?」
兄貴は「小学生のころ何回か見た」と答えた。
「一緒にかくれんぼしてた子に誘われたことない?」
「川原に行こうって誘われたけど、断った。

「俺も同じだ。
最後にその子に言われなかった?『じゃいいや。
弟と行くから』って。


話はさらに遡る。

小4の弟、当時中2の俺、高1の兄貴。
兄貴は寮生活で家にいなかった。
俺は毎朝ランニングしていた。

ある夏の日、弟がベッドにいない。
外に出ると、庭で眠っていた。

その後も弟が時々消え、机の下やタンスの陰など、家の中で隠れるように見つかることがあった。

今になって思う。

弟が見ていた夢の内容は、結局誰にも分からない。

奴は「川原へ行こう」と誘われ、ついて行ったのか。

それとも、末っ子だったからなのか。

これは親には絶対話さない、俺と兄貴だけの秘密だ。

あの夢が現実と交差した瞬間を、俺たちは決して忘れない。
読了
スワイプして関連記事へ
0%
ホーム
更新順
ランダム
変換
音読
リスト
保存
続きを読む

コメント

まだコメントがありません。最初のコメントを投稿してみませんか?

記事要約(300文字)

ダミー1にテキストを変換しています...

0%
変換中